おかべたかしの編集記

執筆・編集の記録とお知らせと。

「本を作るということ」で知った製本家というお仕事

昨晩、荻窪の書店「TITLE」で行われた「本を作るということ」というトークイベントに行ってきました。

絵本作家・井上奈奈さんの『うさぎまでのおさらい』という作品に携わった「中野活版印刷店」の中野さんと、製本指導された「空想製本屋」の店主・本間あずささんのお三方によるお話。この『うさぎまでのおさらい』は、手製本で作られたもので、今の商業出版の主流からすれば、それはもう小部数の作品でしょうが、部数などとは関係なく、作品にかかわった方々の素晴らしい情熱が感じられて、同じ本を作る者として背筋が伸びる思いがしました。大部数ではあるもののスクラップ&ビルドのような本も多いなか、少部数、高定価であっても、本を愛する人によって支えられ、ちゃんと商品としても流通していく新しい本の形を見ることができて、とても有意義でした。

さて、そんなトークイベントで、僕にとってももっとも驚きだったのは、製本家という仕事をされている「空想製本屋」の店主・本間あずささんの存在でした。

f:id:okataco:20170411130521j:plain

オーダーメイド手製本や、本の仕立て直しといった仕事をされる方がおられたなんて!

本間さんは、都内の工房で手製本を学んだあと、スイスのアスコナ製本学校で製本技術を学んだといいます。詳細は、以下のリンクでご覧ください。

空想製本屋

本って、もっと多様性があって、いろんな可能性があるんだなと、昨日、登壇された3人の方に教えていただいた気がしました。いや3人じゃないな。4人だ。この本の版元は、たった1人で出版社「ビーナイス」をされている杉田さん。ご縁があり、たまにお話させていただきますが、本にかける情熱、いろんな才能を幅広くリスペクトされる姿勢に、いつも感じ入っています。

「出版不況」などと数字でしか本の未来が語られない昨今ですが、まだまだいろんな可能性があると元気づけられました。本の未来は明るい!

そうそう明日は「目でみることば」シリーズの偉大なるパートナー・カメラマンの山出さんが下北沢のB&Bのこんなイベントに登壇されるので、こちらにも行ってきます。

楠見清×南信長×山出高士「このマンガ&アニメのキャラクター銅像がすごい!」『もにゅキャラ巡礼』(扶桑社)刊行記念 | 本屋 B&B

席はまだまだたっぷり残っているそうなので、興味ある方ぜひ。こういったイベントに気軽に行けることこそ、東京の大きな魅力。東京1年生のみなさん、ぜひこんな書店のイベントにも気軽に足を運んでみましょう。会社と家の往復だけじゃ、東京は元がとれませんよ。

テンヨーのジグソーパズル

春が来ると「ジグソーパズル」を思い出します。

高校を卒業して東京に出てきたばかりで、まだ部屋にテレビもなかったあの春の日、あまりに暇だから当時物珍しかった「LOFT」で買ったジグソーパズルばかりやっていたからなぁ。

今でも覚えているけど、最初に買ったのは、漆黒の闇の中に浮かび上がるきれいな地球でした。この闇の部分が難関で、暇を持て余してた自分にぴったりだった。これを完成させて、何もなかった部屋にしばらく飾っていたなぁ。

そんな春を思い出させるジグソーパズルですが、こないだ娘に買ってあげたこの商品が実に優れものだったので、備忘録を兼ねて紹介です。

 昔のジグソーパズルって、ピースが硬いダンボールのようなものでしたが、今は硬質なプラスチック。これによりピースの劣化がないし、ハマったときの快感が上がっている感じがする。完成後の糊付けも不要だし、ステンドグラスみたいで実にきれい。これで1000円ちょっとって安いし優れもの。これは「テンヨー」というメーカーさん、お見事でしょう!娘は、できたらすぐに壊してまた作ってるから、また買ってあげよう。次はこんなプーさんにすっかな。

テンヨーさん。こちらか。

このピュアホワイトで、偉人とか遺跡とか、おじさん向けシリーズ作ってください。お願いします。

 

京都の蕎麦前「晦庵 河道屋」

蕎麦屋で、板わさや卵焼きなどを肴にゆるゆると呑んで蕎麦で〆る。この蕎麦屋で呑む「蕎麦前」という文化は、京都出身の僕にとってサイコーの東京文化のひとつです。

京都って蕎麦をあまり食べないんですよね。うどん最高!カルチャーなんで、蕎麦前なんて存在しないものだと思っていました。でも、あるんですねぇ。先日、帰省の際に立ち寄ったのが江戸時代から続くという蕎麦屋さん「晦庵 河道屋」。

f:id:okataco:20170327140102j:plain

ここが実に「蕎麦前」に適したお店なのです。午後2時〜午後5時が休みの店だと「蕎麦前」のゴールデンタイムの午後3時前後に飲めないのですが、ここは通し営業でその点も心配なし。つまみも素敵。

f:id:okataco:20170327130119j:plain

奥が刺身ゆばで、手前が焼き鳥。この串から外すスタイルは東京の老舗蕎麦屋でも見られるものでなんだか嬉しい。あと京都らしく焼き鳥に山椒が効いているのもいいなぁ。知らなかっただけで京都にもちゃんと蕎麦前文化があるんですね。京都の好きな店がまたひとつ増えました。

手話の「昭和」と「平成」

3月24日に「日本文藝家協会」さんのお招きによる「文芸トークサロン」に登壇してきました。もう4回目になるのですが、いつも写真をスライドにして、それを見ながらお話する2時間弱。今回は「くらべる時代」をテーマに昭和と平成で何が変わったかを、クイズ形式も交えてお話ししてきました。

f:id:okataco:20170326095913p:plain

こんなガムの変化が意外と盛り上がりましたね。

それで、今回はスペシャルなことがありまして、手話の同時通訳の方がついてくださったのです。2人の方が20分をめどに交代して私の話を手話で通訳してくださるのですが、手の表現でなく口の表現も加わり、大変な重労働ですね。でもおかげで耳の不自由な方もたくさん参加してくださり「楽しかったです!」と声をかけてもらって、とても貴重な体験となりました。ご参加くださったみなさん、ありがとうございました。

合間の休憩時間に手話通訳の方に手話を少し教えていただきました。「昭和は、高い襟を表現します」とのこと。手を広げて高い襟のところで少し動かします。「平成は平ら」ということで、手のひらを横に動かす感じで。明治と大正は、それぞれの天皇の印象的なヒゲが、手話もモチーフになっています。こんなサイトが詳しいかな。

イベントは、自分ではたどり着けない出会いをくださるので感謝感謝。また登壇すること楽しみにしております。

昭和と平成のオムライス、食べくらべ。

『くらべる時代 昭和と平成』のカバーを飾るのは、日本橋たいめいけん」のオムライスです。

f:id:okataco:20161005161240j:plain

こちらが「オムライス」。昭和からある王道の形ですよね。これに対し平成になってとろとろの卵が乗せられたオムライスをよく見るようになりましたが、その端緒だと考えたのが、同店の「タンポポオムライス」です。

f:id:okataco:20170310130440p:plain

このようなオムレツが乗った形で出てきますが、ここにナイフを入れていきます。

f:id:okataco:20170310130613p:plain

スーッと切っていく。

f:id:okataco:20170310131048p:plain

そして卵を開いていく。

f:id:okataco:20170310130840p:plain

とろとろ^^ 美味しそう。この「タンポポオムライス」の名前の由来は、昭和60年に公開された故・伊丹十三監督の『タンポポ』という映画のタイトルから。同映画にホームレスの男が厨房に忍び込んでオムライスを作るシーンがあるのですが、この撮影に協力した縁で、この名前を採って同店の名物になったのです。YouTubeで探したらあったあった。これですこのシーン。


たんぽぽ すごく美味しそうなオムライス作り

 日本映画の名シーンですね。

たいめいけん」のこの2つのオムライス、見た目だけじゃなくて具材も異なれば味もかなり違います。ぜひ食べくらべてみてください。

たいめいけんのオムライス食べくらべといえば、平松洋子さんの『サンドウィッチは銀座で』(画は先日お亡くなりになった谷口ジローさん。お疲れ様でした。)。この中に「いつもこころにオムライス」という一編があり、たいめいけんでこの両者(+牛肉のオムライス)を食べるシーンがあり、こちらも楽しい。

平松さんは、大阪心斎橋の「明治軒」にまでオムライスを食べに行っておられます。

《「オムライスを知ろうというなら、ぜったい食べずにすませられない味が心斎橋にある。これは酔狂なんかじゃない、一途なオムライス賛歌」》とまでいわしめる味。この店か。

串カツもセットになっているのだとか。ほー。今度、行ってみよう。オムライス探訪、ちょいちょい続けてみようかと思います。

くらべる時代 昭和と平成

くらべる時代 昭和と平成

 

 

 

3/24 文芸トークサロンで「くらべる時代」のお話します

「くらべる時代 昭和と平成」おかげさまで、各地で好評いただいてまして、3月24日の金曜日には日本文藝家協会さんのお招きによるトークサロンに登壇することになりました。

紀尾井町文藝春秋ビルで1500円、ドリンク付。ビールやワインが飲めます^^ 昭和と平成の写真を見ながら時代の移り変わりを話そうという会でして、山出カメラマンも同席してくださるので、撮影苦労話なども話したいと思います。それと今回は、手話の同時通訳の方が同席してくださるとのことで、聴覚障害の方にも参加していただけるのだとか。初めての体験で楽しみです。お時間ありましたらご参加くださいませ。

詳細と申し込みは下記リンクからお願いします。

イベント情報 | 日本文藝家協会

f:id:okataco:20170309095716p:plain

 

くらべる時代 昭和と平成

くらべる時代 昭和と平成

 

 

なぜ卓上ポット(魔法瓶)から花柄が消えたのか?

昭和と平成の違いを34の項目で比較してみた「くらべる時代 昭和と平成」。昨日、発売になりましたが、そのなかで印象的なネタのひとつが卓上ポット(魔法瓶)の昭和と平成です。

f:id:okataco:20170302095748p:plain

そうそう。昭和のものってこういった花柄でしたよね。昭和42年に花柄のものが大ヒットして、それ以降、魔法瓶といえば「花柄」というくらいスタンダードになりました。しかし、軽くて丈夫なステンレス製(これ以前はガラス製)が登場すると、花柄が姿を消します。これはガラス製は外側にカバーがあり、そこにプリントできたけれど、ステンレスには、こういった印刷が難しいためなのだとか。上の昭和と平成のポットは容量は同じですが、この外側カバーがなくなった分だけ平成のものはコンパクトになっています。

撮影に協力してくださったのは象印マホービン株式会社が運営される「まほうびん記念館」。同社のサイトでは、花柄マホービンのイラストがダウンロードできる素敵なサイトがあるのでぜひご覧ください。実に懐かし可愛い!^^

このような昭和から平成にかけての変化を知ることができる「くらべる時代 昭和と平成」。よろしくお願いします!

f:id:okataco:20170217102241j:plain

amazonこちら。書店さんでも、ぜひぜひお求めてください。こんなPOPも飾ってあるかもです♪

f:id:okataco:20170302101703p:plain