新刊の『くらべる値段』完成しました。早いところでは8月6日あたりから書店の店頭に並ぶと思います。
「安いものと高いものは何が違うの?」と疑問に思った経験は誰にでもあるかと思うのですが、そんなハテナ?に答えるのがこの本です。
たとえば「うな重」。松、竹、梅などと値段の違いがありますよね。「今日は奮発して美味しいのを食べよう!」と松を頼む人もいるでしょうが、うな重の値段の差は、その量によって生じています。このように写真で見比べれば一目瞭然。写真の「うな重」昨今にしてはとてもリーズナブルですが、これは日本橋にある「いづもや」さんのもの。こういった撮影場所の紹介を毎回楽しみにしてくれる方がたくさんいて嬉しいです。
サッカーボールも値段の差がありますよね。ご覧のように同じメーカーの同じブランドでも価格差がある。これよく見るとわかるのですが、5200円のものは糸を使ってパネルとパネルを縫い合わせていますが、高いものには糸を使った形跡が見られません。これは熱接合でパネルとパネルを貼り合わせているのです。こうすることで糸から水を吸収することを防ぎ、完全な球体に近づけることができるのだとか。
カニ缶は「全部高い!」と思っている人もいるかもしれませんが、同じ種類のカニでも値段の差がある。これはこのように脚肉の部分を使っている割合によって変わります。
コーヒー豆も値段違いますよね。右の100g2000円の豆は誰もが名前は聞いたことのあるだろう「ブルー・マウンテンNO.1」。ブルマンはジャマイカ政府が管理しているため、エラー豆の混入率も限りなく低く見た目も艶々。ブルマンが高いのは伊達ではないのです。
椎茸は、傘が開かず裏側の膜が残っているものが高価とされます。ただ、味に関しては傘が開いているものが美味しいという人もいるので、価格が味と比例するかは別問題なのだとか。
寿司の値段の差はどうやって生まれるのか。2000円と5000円では、量の差はそれほどでもありませんが、ネタのクオリティが違う。同じマグロ、エビ、玉子でも、高価なものは高級なネタが使われています。でも、腕のよいお寿司屋さんは、値頃なネタでもいい仕事で美味しくしてくれますね。
今回、驚いたもののひとつがこの炭。900円の炭は、マングローブを使ったインドネシア産。充分な時間がかけられていないので、しっかり炭化しきっていないことから、煙が出て臭い。バーベキューの臭いが嫌な人は、ちょっと高い国産品を買ってみてください。もう全然違います。僕は、この国産の炭の良さを知ってから家で七輪を始めたのですが、いいですよー!
このほか「胡蝶蘭」とか「花火」とか「バナナ」とか「ギター」とか「革靴」とか「シャツ」とか「万年筆」などなど34の品々の安いものと高いものを、取材に行って写真にとり、このように見くらべてもらうことで、その差を知ってもらおうとしております。すべてのものにおいて高いもののほうがいいという主張ではありません。安いものにはこんな工夫があったの!という発見もあり、個人的にこの取材を経て知ったことはとても多いですし、これからの人生の役にたつことが多かった。
きっと読んでくださった方も、ものの見方とか、作り手に対する想像力とか、何か変化をもたらすきっかけになる本になるのではないかと思っております。ぜひ手にとってみてください。
こんなPOPを作りましたので、御入り用の書店さんありましたら、コメントなどくださいませ。
この「くらべる値段」は、「くらべる」シリーズとしては第三弾になります。前回は、昭和と平成をくらべたこちら。
その前は、東西文化の違いをくらべたこちらです。
既刊も併せてよろしくどうぞ。取材のご依頼などお気軽にお願いします。8月6日に経堂の「さばのゆ」で発売イベントもやりますので、詳細以下のリンクからお願いします。
sabanoyu.oyucafe.net