おかべたかしの編集記

執筆・編集の記録とお知らせと。

祝!『風雲児たち』NHK時代劇化

なんと三谷幸喜さん脚本で『風雲児たち』がNHKでドラマ化されるとのこと!

ファンが長年待ち望んでいたことですが、これは三谷幸喜さんご自身も待ち望んでいたことでしょう。三谷さんにとって初めての大河といえば『新選組!』。

新選組 ! 完全版 第壱集 DVD-BOX

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 2004年に放送されたこの作品を作るとき、この脚本は『風雲児たち』に影響を受けていると、おっしゃってたんですよね。近藤勇役の香取慎吾さんに、まず手渡したのがこの本だったはず。

冗談新選組

冗談新選組

 

 いつか『風雲児たち』を大河で!は、三谷幸喜さんの長年の夢だったに違いありません。昨年の『真田丸』の大ヒットで、三谷さんがやれることの幅が広がって、今回の正月時代劇『風雲児たち』につながったのでしょう。嬉しい!実に嬉しいです。

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ファンにとっては馴染み深いこんなシーンも見られるかな。(というか、我々ファンの気持ちがまさにこんな感じ^^)

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こんなシーンが見られたら、泣いてしまいそうです^^

おそらくですが、これが好評であれば、三谷さんは『風雲児たち〜寛政の三奇人篇〜』など、続編も作ってくれるに違いありません。ぜひ応援したい!今から放送が楽しみで仕方ありません。偶然にも、今週末に、みなもと太郎先生の画業50年をお祝いするパーティーがありますが、この嬉しい一報で、俄然盛り上がること間違いありません。こちらも今から楽しみ。

さてこれから注目されること必至の『風雲児たち』、まだ未読の方は是非ともこの機会に読みましょう! 小学生の高学年でしたら、充分に読めます。お子さんもきっと歴史好きになると思いますよ。(うちの小学5年生も大ファンです)

風雲児たち全20巻 完結セット (SPコミックス)

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 こちら拙著も『風雲児たち』を俯瞰したり、思い出すのに是非^^

風雲児たちガイドブック 解体新書 (SPコミックス)

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風雲児たち』これからどんどん盛り上げていきましょう!

「ハードカバー」で読みたい本『はてしない物語』 

『くらべる値段』では、安いものと高いものをくらべていますが、必ずしも安いものがダメで、高いものがいいと主張したいわけではありません。まえがきで《安いものには努力があり、高いものには夢がある》と書いてますが、しっかりとしたものならば、双方に意義があると考えています。ただ、とはいえ「これは高いほうがオススメ」というものもあります。そのひとつが『はてしない物語』という本です。

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文庫で買えば上下巻で1600円。ハードカバーで買えば2860円。これだけの価格差がありますが、ぜひハードカバーで買って欲しい。というのは、この本は、ハードカバーであることに大きな意味があるからです。

《表紙はあかがね色の絹で、動かすとほのかに光った。パラパラとページをくってみると、なかは二色刷りになっていた。さし絵はないようだが、各章の始めにきれいな大きい飾り文字があった。》

これは『はてしない物語』の冒頭部の一節なのですが、物語は、主人公であるバスチアンがこのように描写された本を手にすることで始まります。作者のドイツ人作家のミヒャエル・エンデは「読んでいる本の中に入ってしまう物語」としてこの物語を構想しました。そのためには、物語の中で主人公が手にしている本とまったく同じ装丁でまったく同じ中身の本でなければならないとこだわり、文章だけでなく、この装丁も含めた本そのものも作品と考えたのです。もうおわかりかと思いますが、ハードカバー版は、この文中の本とそっくりそのままの装丁になっているのです。さらに、この本は世界各国で翻訳され、各国の出版社によって装丁されたのですが、エンデは日本語版が一番よくできていると喜んだそうです。

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(写真・山出高士)

「あかがね色」を表現した実に見事な装丁です。上下巻のソフトカバーは、安くて持ち運びにも便利ですがが、エンデが構想した「本の中に入ってしまう」読書体験のためには、やはりハードカバーで読むべきだと思うのです。

はてしない物語 (エンデの傑作ファンタジー)

はてしない物語 (エンデの傑作ファンタジー)

 

人によって「ハードカバーで読みたい本」というのは、他にもたくさんあると思います。方々で聞いてまわったところ、『舟を編む』(三浦しをん/光文社)、『本日は、お日柄もよく』(原田マハ徳間書店)、『家守奇譚』(梨木香歩/新潮社)などなど、いろいろ教えてもらいました。文庫は安くて手軽だけど、ハードカバーにしかない良さってありますよね。いろんな書店さんで「ハードカバーで読みたい本フェア」やったら楽しいだろうなと思っています。

「大学イモ」のこと関西では「中華ポテト」と呼びますかね

『くらべる東西』を出してからも「東西ネタ」に関する興味は尽きず、いろいろ調べております。そんななか、こんな2冊の本で知ったネタをご紹介。

方言と地図 (ピクチャーコミュニケーション)

方言と地図 (ピクチャーコミュニケーション)

 

子どもが見ても楽しいだけでなく、ネタも深く素晴らし本でした。このなかで関東の「大学イモ」を関西で「中華ポテト」と呼ぶと書いてあったのですが、初耳。「メンチカツ」を「ミンチカツ」と呼ぶのは、なんとなくわかるというか、僕は関東にくるまで「メンチカツ」というものを知りませんでした。味の表現でいえば《西の「からい」に東の「しょっぱい」》はなるほどなと。そんななかいちばん惹かれたのは、角もち、丸もちの東西対比が、北海道の中では混在しているというお話。

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丸もち、角もちも北海道ではご覧のように混在。北海道には、明治以降、内地の人が集団で移住したので関東文化と関西文化が混在していることは知っていたのですが、どこが関東、関西というのは、明確にわかっているのですかね。これをぜひ調べてみたいと思っておりまして東西の第二弾の際には、北海道遠征できないかと画策しております。

次にこの本。

世界を読む

世界を読む

 

 地理学の視点から世界を読み取るというこんな本にも東西の違いが少し載っていました。

関ヶ原以東では「イエ」という人が多く以西では「ウチ」という人が多く、明後日の翌日を西日本では「シアサッテ」というが、ほぼ糸魚川ー静岡戦より東では「ヤノアサッテ」という》

「ヤノアサッテ」ということば、何かで目にした記憶が……という感覚しかなかったのですが、関東のことばだったのですね。いろいろ深い。これからも調べて参ります。

そうそう。東西ネタといえば、我々「くらべる東西」コンビもロケに参加したNHKの《中部 境界線ワンダーランド》が、明日6日、日曜日の午後1時5分から再放送あります。中部地方のみの放送ですが、前回見逃した方、ぜひご覧くださいませ。

www4.nhk.or.jp

「クイズ!オトナVSこども」に『目でみることばのずかん』

明日、5日土曜日の午後1時30分〜午後3時まで、フジテレビで「クイズ!オトナVSこども」という番組が放送されます。

クイズ!オトナvsこども - フジテレビ

坂上忍上地雄輔MC!天才キッズVS芸能人クイズバトル》

ということのようなのですが、この問題のひとつが『目でみることばのずかん』から出題されると連絡をいただきました。

どんな問題かは放送をお楽しみに♪ 僕もクイズは大好きなので放送が楽しみです。

ちなみに『目でみることばのずかん』はこんな本。

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『目でみることば』シリーズから、子ども向けに再編集したもので、いろんなネタが載っています。

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これは、ことばネタの「いもづるしき」。

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これは漢字ネタの「生」。このほか「似ていることば」「似ている英語」のネタも収録。大判で見やすく総ルビなので、お子さんも読めます。読み聞かせに使うのにも最適なので、ぜひ一度手にとってみてくださいませ。

目でみることばのずかん

目でみることばのずかん

 

「安い」と「高い」の違いがわかる『くらべる値段』

新刊の『くらべる値段』完成しました。早いところでは8月6日あたりから書店の店頭に並ぶと思います。

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「安いものと高いものは何が違うの?」と疑問に思った経験は誰にでもあるかと思うのですが、そんなハテナ?に答えるのがこの本です。

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たとえば「うな重」。松、竹、梅などと値段の違いがありますよね。「今日は奮発して美味しいのを食べよう!」と松を頼む人もいるでしょうが、うな重の値段の差は、その量によって生じています。このように写真で見比べれば一目瞭然。写真の「うな重」昨今にしてはとてもリーズナブルですが、これは日本橋にある「いづもや」さんのもの。こういった撮影場所の紹介を毎回楽しみにしてくれる方がたくさんいて嬉しいです。

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サッカーボールも値段の差がありますよね。ご覧のように同じメーカーの同じブランドでも価格差がある。これよく見るとわかるのですが、5200円のものは糸を使ってパネルとパネルを縫い合わせていますが、高いものには糸を使った形跡が見られません。これは熱接合でパネルとパネルを貼り合わせているのです。こうすることで糸から水を吸収することを防ぎ、完全な球体に近づけることができるのだとか。

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カニ缶は「全部高い!」と思っている人もいるかもしれませんが、同じ種類のカニでも値段の差がある。これはこのように脚肉の部分を使っている割合によって変わります。

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コーヒー豆も値段違いますよね。右の100g2000円の豆は誰もが名前は聞いたことのあるだろう「ブルー・マウンテンNO.1」。ブルマンはジャマイカ政府が管理しているため、エラー豆の混入率も限りなく低く見た目も艶々。ブルマンが高いのは伊達ではないのです。

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椎茸は、傘が開かず裏側の膜が残っているものが高価とされます。ただ、味に関しては傘が開いているものが美味しいという人もいるので、価格が味と比例するかは別問題なのだとか。

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寿司の値段の差はどうやって生まれるのか。2000円と5000円では、量の差はそれほどでもありませんが、ネタのクオリティが違う。同じマグロ、エビ、玉子でも、高価なものは高級なネタが使われています。でも、腕のよいお寿司屋さんは、値頃なネタでもいい仕事で美味しくしてくれますね。

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今回、驚いたもののひとつがこの炭。900円の炭は、マングローブを使ったインドネシア産。充分な時間がかけられていないので、しっかり炭化しきっていないことから、煙が出て臭い。バーベキューの臭いが嫌な人は、ちょっと高い国産品を買ってみてください。もう全然違います。僕は、この国産の炭の良さを知ってから家で七輪を始めたのですが、いいですよー!

このほか「胡蝶蘭」とか「花火」とか「バナナ」とか「ギター」とか「革靴」とか「シャツ」とか「万年筆」などなど34の品々の安いものと高いものを、取材に行って写真にとり、このように見くらべてもらうことで、その差を知ってもらおうとしております。すべてのものにおいて高いもののほうがいいという主張ではありません。安いものにはこんな工夫があったの!という発見もあり、個人的にこの取材を経て知ったことはとても多いですし、これからの人生の役にたつことが多かった。

きっと読んでくださった方も、ものの見方とか、作り手に対する想像力とか、何か変化をもたらすきっかけになる本になるのではないかと思っております。ぜひ手にとってみてください。

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こんなPOPを作りましたので、御入り用の書店さんありましたら、コメントなどくださいませ。

くらべる値段

くらべる値段

 

 この「くらべる値段」は、「くらべる」シリーズとしては第三弾になります。前回は、昭和と平成をくらべたこちら。

くらべる時代 昭和と平成

くらべる時代 昭和と平成

 

 その前は、東西文化の違いをくらべたこちらです。

くらべる東西

くらべる東西

 

 既刊も併せてよろしくどうぞ。取材のご依頼などお気軽にお願いします。8月6日に経堂の「さばのゆ」で発売イベントもやりますので、詳細以下のリンクからお願いします。

sabanoyu.oyucafe.net

模造紙は何を「模造」しているのか? 『数字が語る現代日本の「ウラ」「オモテ」』

実に面白い本でした。

数字が語る現代日本の「ウラ」「オモテ」 (学研新書)

数字が語る現代日本の「ウラ」「オモテ」 (学研新書)

 

 著者は、中学校の先生なのですが、いろんな数字を面白がるセンスが、とてもよかった。備忘録も兼ねて目次を紹介していきます。

《富士山の標高は今でも本当に3776メートルなのか》

九州でいちばん高い山というのは、もともと久住山だったけれど、登山客で賑わって山頂の岩場が崩壊するなどして次々と変わっているのだとか。データって「変わらないもの」と思いがちだけど、次々と変わっていると改めて気付かさせてくれます。富士山の高さも同様で、変わりそうな契機がなんどもあったけれどなんとか3776を守っているのだそうです。

《今、国産農産物の輸出が増えている!りんご2.8倍 米9.5倍 いちご28.7倍》

食料の輸出入の話題になると、とかく外国に頼っているという論調一辺倒ですが、実は国産農産物で輸出が増えているという面もあるというお話。「ドバイの太陽」と名付けられた鳥取産の高級スイカが、現地で大人気というのはなかなかよいですね。青森リンゴは、台湾などでも大人気なのだとか。

《東京都心(中央区)の人口増加率35.7%が全国1位になった異変》

昔、都心の人口が減るという「ドーナツ化現象」というのがありましたが、21世紀になるとこれと逆に都心の人口が増えるようになったという。これを「あんぱん化現象」と呼ぶのだそうです。

《日本一大きな水車と日本一長い夢の大吊橋》

日本一大きな水車というのが、15年間で10回も更新されており、1991年だけで3回も日本一が変わっているそうです。鋭い人は、この年代だけでピンとくるかもですが、これの発端は、全国の市町村に1億円を地域振興資金として交付した竹下内閣の「ふるさと創生事業」なんですね。

《東日本に157万人いる鈴木さん、なぜ西日本にはたった13万人なのか》

激しくうなづいた指摘でした。僕、京都生まれの京都育ちなのですが、正直「鈴木」という人が、全国1位といわれるほどに周りにいなかったんですよね。それこそ「鈴木くん、佐藤くん」なんてお菓子も出ていましたが、そんなにいる?と思っていたところ、やはり鈴木は関東に多い姓なのだとか。関西に多いのは「田中」で、これは稲作が昔は関西で盛んだったことの名残りだとか。中村は、稲作を行う村の中心。「井上」は新田開発のために掘られた井戸の周辺を意味して、これも関西に多いのだとか。なるほど!

《壁新聞に使う白い大きな紙の呼び名は、模造紙72%、B紙15%、鳥の子用紙7%》

この項で「学校方言」ということばを使われていましたが、鹿児島などの九州で黒板消しを「ラーフル」と呼ぶなど、たしかにそういうものって多いですよね。「模造紙」もそのひとつで、上記のように名前が違うのだとか。僕にとっての驚きは「模造紙って何を『模造』しているのか?」に、この文章を読むまで気付かなかったこと。『目でみることば』を作っていたとき「葛藤」ってなぜ「葛」と「藤」って書くの?など、この手のネタを徹底的に考えたのだけど、まだまだあるなー。《「雁皮」というのは昔からの和紙の原料であり、その和紙の一種に「鳥の子紙」と呼ばれる紙がある。その「鳥の子紙」に似せて、つまり模造したから「模造紙」》なんだとか!

いろいろ勉強になったいい本でした。

そういえば「目でみることば」は、夏休みの自由研究に使えるので、興味のある方、以下の記事ご覧くださいませ。

okataco.hatenablog.com

「中部境界線ワンダーランド」と「くらべる値段のカウンター」

今年の春先に『くらべる東西』を読んだというNHKのディレクターさんから「東と西の間がどうなっているのかとても興味があります」と連絡がありました。

くらべる東西

くらべる東西

 

たしかに「くらべる東西」には、関東と関西のことは載っていますが、その間がどうなっているかは載っていない。それで、その間の中部、北陸のことを調べるため、私たち「くらべる東西」コンビもロケに参加した番組が明日放送になります。

この「金とく」という枠の「中部 境界線ワンダーランド」(以前ご紹介したタイトルと変わっていました^^;)。明日7月28日、NHK総合(富山・石川・福井・愛知・岐阜・三重・静岡)午後7時56分~ 午後8時41分です。放送地域が限られていますが、見られる方ぜひご覧ください。あと番組ご覧いただいた方、興味もたれましたらぜひ『くらべる東西』も手にとってみてください。 

 

それとシリーズ最新作の『くらべる値段』がまもなく発売になります!

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「高いものと安いもの。何が違うの?」という本。詳細はまた近々ご紹介いたしますが、この発売を記念して、経堂にある「さばのゆ」で「くらべる値段のカウンター」というちょっとしたイベントをやります。8月6日、午後7時から、カウンターでゆるゆる飲みながら、本を手売りしていますので、お近くの方おられましたら是非とも。詳細、以下のリンクからご覧ください。

facebookはこちらから。

「くらべる値段」のカウンター

では、いろいろよろしくお願いいたします。