おかべたかしの編集記

執筆・編集の記録とお知らせと。

「いがまんじゅう」の謎 あなたの街にも<もち米をまぶした「まんじゅう」>ありませんか?

こんなカラフルなもち米をまぶした「まんじゅう」ご存知でしょうか?

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こちら滋賀県蒲生郡日野町に伝わる「いがまんじゅう」。新刊『くらべる日本 東西南北』では、この「いがまんじゅう」をいろいろ紹介していますが、これは山出カメラマンの体験から始まっています。実は、山出カメラマンが雑誌の撮影で、初めて見た「いがまんじゅう」は、埼玉県鴻巣市のこちらのもの。

 

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次に見たのが、愛知県幸田町のこちらのもの。

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このように同じ名前の「いがまんじゅう」であっても、見た目が全然異なるのはなぜなのだろう……本の中ではこの謎を追ったのですが、鴻巣の赤飯をまぶしたものは独自で、カラフルなもち米をまぶしたものは、全国にあることがわかりました。

名前も異なっているケースもあります。三重県の津市では「けいらん」と呼び、愛媛県松山市では「りんまん」と呼び、山形県蔵王では「稲花餅」と書いて、これで「いがもち」と呼びます。

通年、売られているケースもあれば、ひな祭りのシーズンや、秋祭りのときだけ売られているものもある。しかし、どれも赤、黄色、緑、白など、カラフルなもち米がまぶされているのです。似ているのだけれど、多様性があるところがとても魅力的です。

今回、山出カメラマンのコラムも含めて、様々な考察を行なった「いがまんじゅう」ですが、「すべてのいがまんじゅうを写真に撮りたい!」(by山出高士)と、その熱は止まることを知りません。『くらべるいがまんじゅう』の刊行も夢見ていますので、ぜひ「我が町にもいがまんじゅうがあるよ」あるいは「カラフルなもち米をまぶしたまんじゅうがあるよ」という方おられましたらぜひ教えてください。

情報提供先メールこちらです。spoonbooks-to@yahoo.co.jp

このように名前は同じでも全国には異なるものがたくさんあります。そんな異文化比較を見て楽しめるように紹介しているのが新刊『くらべる日本 東西南北』。ぜひよろしくお願いします。

くらべる日本 東西南北

くらべる日本 東西南北

 

『くらべる東西』からエリア拡大『くらべる日本 東西南北』8/1発売!

新刊『くらべる日本 東西南北』が完成したので、見所をご紹介します。

 

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2年前に刊行した『くらべる東西』では、東と西の文化の違いをくらべたものでしたが、本作ではエリアを「東西南北」に拡大して、全国の面白い文化の違いをご紹介。カバーは、スコップです。「どっちがスコップ?」と帯にありますが、どちらをスコップと呼ぶかは、地域によって異なるということをご存知でしょうか。関西で育った僕にとって、スコップは左の小さいものとしか思えませんが、関東ではなんと逆の人が多いんです。あなたにとってのスコップはどちらでしょうか。

さて、エリアを全国に広げて発見した面白い地域文化ですが、たとえばこんなもの。

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これ何かわかりますか?

これは北海道の百人一首で「板がるた」とか「下の句かるた」と呼ばれるもの。この名前からもわかるように、取り札が板でできているのですが、それ以上に驚くのが「下の句を読んで下の句の札を取る」というところ。え? 百人一首といえば、上の句と下の句を覚えるものという、全国的な大前提からして違うのです。北海道出身の人に聞くと、ほほこの「下の句かるた」を知っているので、道民の認知度はかなり高いと思います。身近な北海道出身の人に「これ知ってる?」と聞いてみてください。きっと話が盛り上がると思いますよ。

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あと日本犬の取材もしまして、こちらはオオカミっぽい風貌がかっこいい「四国犬」。あと「甲斐犬」とか「紀州犬」の姿も拝めますよ。

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こちらは鉄板で焼いた鳥の皮ですが、これが愛媛県今治市で定番の「焼き鳥」。「焼き鳥」と一口にいっても、全国ではその姿も様々なのが面白い。

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ではひとつクイズです。こちらは東京のみたらし団子ですが、京都のみたらし団子は、何が違うでしょうか? ぜひ考えてみてくださいませ。

このような文化の違いがたくさん詰まった『くらべる日本 東西南北』は、8月1日発売です。さて、本書の発売を記念して東京都世田谷区経堂の「さばのゆ」で、出版記念イベントを7月31日(火)に行います。今回は、なんと「株式会社お雑煮やさん」が、東西南北4種類のお雑煮を提供してくださいます。

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東の雑煮は千葉の「はばのり雑煮」。西の雑煮は京都の「白みそ雑煮」。南の雑煮は鹿児島の「西郷どん雑煮(焼き海老出汁の甘口醤油タイプ)」。そして北の雑煮は宮城の「ハゼ出汁雑煮(引き菜でイクラ乗せたタイプ)」。これがチャージの1500円で食べられるというお得なイベントになっていますので、ぜひお越しくださいませ(ドリンクキャッシュオン)。予約は以下のさばのゆのサイトからお願いいたします。

sabanoyu.oyucafe.netご協力いただく「株式会社お雑煮屋さん」はこちら。

www.zouni.jpでは『くらべる日本 東西南北』よろしくお願いします。これからしばらく、関連情報をアップしていきますので、楽しみにしていてください。

くらべる日本 東西南北

くらべる日本 東西南北

 

 あと『くらべる東西』もよろしくどうぞ。

くらべる東西

くらべる東西

 

 

小学6年の息子が「こんなの泣いちゃう」と言ってくれた本

小学6年の息子が、ようやく本を読み出しました。これが地味に嬉しい。

本を作っている身としては、その良さを次世代に伝えたいのですが、自分の息子が読まないようでは話にならない。かといって押し付けても本を嫌いになるだけだろうしと、ゆるやかに彼の近くに名作を置き続けたところ、ある日、手にとって読むようになりました。そのきっかけとなったのは、こちら。

十五少年漂流記 (講談社青い鳥文庫)

十五少年漂流記 (講談社青い鳥文庫)

 

 僕、実は大学の卒論をジュール・ヴェルヌで書いたほどのヴェルヌファンでして、十五少年漂流記も、本が大好きになった思い出の一冊。「これ面白いね」と息子がいってくれたので、嬉しさを隠しながら「当たり前だろ!」と答えておきました(笑)。

十五少年漂流記』を読めば、次も漂流ものだろうと、次はこちらをさりげなく。

ロビンソン漂流記 (講談社青い鳥文庫)

ロビンソン漂流記 (講談社青い鳥文庫)

 

 やっぱ漂流モノは、探偵モノと並ぶ、男子にとってのキラーコンテンツ。がっつり食いつきますね。僕は、ここから吉村昭先生の『漂流』とかに行ったのですが、ちょっと早いかなと思い、次に放った一手が良かった。

源平の風 (白狐魔記 1)

源平の風 (白狐魔記 1)

 

 息子は歴史が好きなので、これは食いつくのではと手渡したのが、斉藤洋さんの『源平の風』。仙人に弟子入りして仙術を習得した狐「白狐魔丸」が、日本の歴史上の人物と遭遇し、歴史の面白い一面を見せてくれる名作シリーズの第1巻です。僕は、大人になってから読みましたが「児童文学」という枠を超えた実に面白い作品。案の定「白狐魔丸がかわいい!もっと読みたい」と言うので、立て続けに4作読んだかな。

蒙古の波 (白狐魔記 2)

蒙古の波 (白狐魔記 2)

 
洛中の火 (白狐魔記 3)

洛中の火 (白狐魔記 3)

 
戦国の雲 (白狐魔記 4)

戦国の雲 (白狐魔記 4)

 

 このなかだと元寇を描いた『蒙古の波』がいちばん好きだったようでした。

もうここまでくると、立派な本好き。今まで「難しい」と思っていたものを、スラスラとクリアできる快感。読んでしまえば単なる娯楽のひとつと感じられるようになれば、もう大丈夫。本なんて、そんなもんです。肩肘張らず、楽しんでもらえれば十分。そのためには、楽しい本を渡してあげること。そして親も本が好きである環境が整えば言うことないですよね。

さて、「もっと違う感じで面白いのが読みたい」というので、「まだ早いかもしれないけど……」と、この作品を渡してみました。

西の魔女が死んだ (新潮文庫)

西の魔女が死んだ (新潮文庫)

 

 『西の魔女が死んだ』。主人公の女の子と、おばあちゃんの物語。ストーリーもいいけれど、おばあちゃんの家の描写が本当に素敵なんですよね。「読めば絶対感動する。保証する」と言って渡したら「よーし」と読み始めた。ずっと集中して読んでいて、最後の最後、彼の目から涙がポロリ。きっと最後のあれを読んだのでしょう。

《「西の魔女から東の魔女へ おばあちゃんの魂、脱出大成功」》

読み終えた息子は「こんなの泣いちゃう」と言ってました。かわいいなー。嬉しいなー。自分の感動を子供と共有できるのは、なんともいいことですね。

すっかり本に対して抵抗もなくなったようなので、この夏は、いっぱい本を勧めたいと思っています。

ワールドカップ終戦

ああ。負けてしまった。日本の戦いはまたしてもベスト16の壁を越えることができなかった。

でも、本当によくやったと思う。

原口、そして乾のボールがネットを揺らしたときは、鳥肌たった。あのアンラッキーなゴールからの流れを変えられなかったのが悔しいね。

でも、拍手で迎えたい。

たらればだけど、23人の選考をもっと詰めれば、より効果的な交代ができたような気もする。でも乾、昌子、酒井宏樹、香川あたりは、想像以上の出来だった。昌子、素晴らしかったよ。

今回のワールドカップは予選リーグから面白いけれど、これは上と下の差がぐっと縮まったからだと思う。日本はその下からの差を詰めた先頭だったことも誇らしい。日本のワールドカップは終わったけれど、またJリーグも始まる。また息子のサッカーも今年は最後の年。

また「そこにあるサッカー」に戻ろう。日本のサッカー界に幸あれ!

「dマガジン」と「one hour」と「くらべるご飯のお供」

いろいろ媒体で取り上げていただいたので、御礼を兼ねてご紹介。

まず「dマガジン」というおしゃれなウェブマガジンで『くらべる世界』を紹介していただきました。なんだかとてもかっこいいのです。

www.digimonostation.jpこの中で「あやとり」が紹介されてますが、この「あやとり」やってくれているのがムスメです^^ 「撮影までにアメリカと日本の蝶のあやとり覚えておいてね」と頼むと、ちゃんと覚えてやってみせてくれるお利口さんで、頼りにしております。

 

くらべる世界

くらべる世界

 

あと大同生命が発行している「one hour」という冊子で「くらべる時代 昭和と平成」を紹介していただきました。

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書き手の方にとても丁寧に取材していただきまして改めて御礼申し上げます。平成が終わろうとしている今、改めてこの本に注目していただく機会が増えて喜んでおります。

くらべる時代 昭和と平成

くらべる時代 昭和と平成

 

 

それと告知なのですが明日、経堂のさばのゆで「くらべる酒場 ご飯のお供」をやります。いろんなご飯のお供を食べながらゆるりと飲む会。僕もカウンターの中におりますので、ふらりとお立ち寄りください。詳細以下になります。

sabanoyu.oyucafe.netFacebookイベントページもありますよ。

くらべる酒場「くらべるご飯のお供!」

 現在、次作「くらべる日本」の制作大詰め。来月末にはお届けできると思うので、楽しみにお待ち下さいませ。

「くらべる納豆」&「謎のアジア納豆」

さて「目でみることば」シリーズですが、次回作は「くらべる日本」と題して、日本文化のあれやこれやをくらべて参ります。夏頃、刊行予定ですので、楽しみにしていてくださいね。さて、そんな次作のネタのひとつと考えているのが「納豆」です。

関西では、ちょっと一昔前の話ですが、たしかにあまり納豆を食べなかった。僕も子供の頃は、父親が食べているのを、おそるおそる見てる……という感じでした。ものの本を読むと、そもそも《関西では塩辛納豆が、関東では糸引き納豆が一般的に食べられています》とある。もうこれは、今の時代に即していないと思うけれど、こんな時代があったんですね。この塩辛納豆というのは、お寺で作られることが多かったことから「寺納豆」とも呼ばれています。

《やわらかく煮た大豆に麹菌を植えて麹豆を作り、塩水にひたして3〜4ヶ月発酵させた後、豆を取り出して乾燥させたものです。酒の肴や田楽味噌にすり混ぜて食べます》とあります。関東の糸引き納豆は、納豆菌で発酵させたものとあるので、塩辛納豆は、納豆菌で発酵させてないんですね……。じゃあ、納豆の定義って何?

なんてことに面白く答えてくれるのが、高野秀行さんの、こちらの本。

謎のアジア納豆: そして帰ってきた〈日本納豆〉

謎のアジア納豆: そして帰ってきた〈日本納豆〉

 

 ミャンマーなどでは、納豆がソウルフードになっているんですが、藁ではなく、葉っぱで作ったりしてるんですね。そしてそのまま食べるだけじゃなくて、炒めたりいろんな調理法がある。こういった日本納豆とはちがう「アジア納豆」をめぐる冒険が実に楽しい本でした。

さて、実はもう明日になったのですが、経堂の「さばのゆ」の、もうすっかり恒例となった「くらべる酒場」で、納豆をテーマに5/16の午後7時からゆるりを飲んでおります。ミャンマーに行った方が、アジア納豆を持参してくださるそうで、なんだかとても楽しみ。僕もカウンターにおりますので、ふらりとお立ち寄りくださいませ。

詳細はさばのゆのイベントページ

sabanoyu.oyucafe.netあるいは以下、Facebookのイベントページご覧くださいませ

くらべる納豆!@さばのゆ

 

「花みず木竜王戦」

パタパタとGWは終わりましたが、その序盤の4月29日、世田谷区が主催する将棋大会「花みず木竜王戦」が行われ、小6の息子が参加しました。

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小学校の低学年、高学年、中学生の3部門に分かれて優勝を目指すこの大会。各組60人ほどが参加するのですが、昨今の将棋ブームを受けて、まず抽選を突破して参加することがなかなかに困難。会場となった小学校の体育館には、抽選をパスした将棋好きな子供たちが集いました。棋士の先生方も参列されて、ピーンと緊張感のある会場の空気はなかなかよいものですね。子供たちは、みんな姿勢も礼儀もよく、見ていて清々しいものがありましたよ。さて息子ですが、幸運なことに予選を勝ち抜き、決勝戦へと駒を進めました。

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決勝の舞台は、二子玉川高島屋に設けられた特設ステージ。

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大盤解説島朗さん。そして聞き手は谷口女流というなんとも羨ましい状況で、多くの人に見守られながら対局。

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勝戦は、いつもの思い切りの良さが出せず残念でしたが、忘れがたい光景を見せてくれました。将棋、好きでよかったねぇ。ご苦労様。

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息子が副賞にといただいた鈴木環那女流の扇子。ほんと達筆で素敵ですねぇ。「夢は希望」ということばもいいね。ほんとに夢は持てるだけで幸せなこと。息子は棋士を夢見ているわけではないと思うけれど、一生楽しめる趣味が持てて本当によかった。将棋がとりもついろんな縁に感謝したGWでした。