おかべたかしの編集記

読書・執筆・育児の記録と、お知らせと。

2106年の嫉妬本大賞『「罪と罰」を読まない』

年の瀬ですので、今年の「嫉妬本」大賞を発表しておきます。この大賞は、執筆や編集で20年以上、本作りに携わってきた僕からみて「いいなぁ。こんな本、俺も作りたい。」という作品を選ぶものです。今年は『罪と罰を読まない』としました。

 まず根幹の発想がすごい。

《ドフトエフスキーの名作『罪と罰』を読んだことのない4人が集まって、わずかなヒントを頼りにどんな話か予想する》

この模様を本にしているわけですが、これが実に面白い。主人公「ラスコーリニコフ」を「ラスコ」と呼ぶくだけた空気感と、三浦しをんさんらのわずかなヒントから、鋭く物語の展開を読む推理力がうまく融合して、ページをめくる手が止まりませんでした。

「読んでない本」でも、これだけ魅力的な題材にできるとは実に驚きで、本の新しい可能性を見出したのではないでしょうか。

あと、この本がすごいと思うのは、企画書の段階では、面白いのかそうでないのかまったくわからないところ。企画が通らないならやめるいう姿勢では、この本は出なかったのではないでしょうか。発想を得た人の「面白いからとにかくやろうよ!」というのが推進力になって形になったはず。ここに共感するのです。

僕も、ここ数年、企画書を作るよりも、そのモノの一端を作り上げることを意識しています。本当に面白いものは、企画書なんて面倒なもの(またそれを通す面倒なこと)など、待ってられずに生み出されてくるもの。そんな意識をこの本からすごく感じました。いいなぁこんな本を作れて。そしてヒットさせて!

同業のみなさんも「いいなぁ」と思う嫉妬本を紹介してみてはいかがでしょうか。さて来年もこんな風に嫉妬したいし、同業のみなさんを嫉妬させたいですね。

では、みなさんよいお年をお過ごしください。

❇︎ちなみに去年の大賞はこちらの作品でした。

okataco.hatenablog.com