おかべたかしの編集記

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模造紙は何を「模造」しているのか? 『数字が語る現代日本の「ウラ」「オモテ」』

実に面白い本でした。

数字が語る現代日本の「ウラ」「オモテ」 (学研新書)

数字が語る現代日本の「ウラ」「オモテ」 (学研新書)

 

 著者は、中学校の先生なのですが、いろんな数字を面白がるセンスが、とてもよかった。備忘録も兼ねて目次を紹介していきます。

《富士山の標高は今でも本当に3776メートルなのか》

九州でいちばん高い山というのは、もともと久住山だったけれど、登山客で賑わって山頂の岩場が崩壊するなどして次々と変わっているのだとか。データって「変わらないもの」と思いがちだけど、次々と変わっていると改めて気付かさせてくれます。富士山の高さも同様で、変わりそうな契機がなんどもあったけれどなんとか3776を守っているのだそうです。

《今、国産農産物の輸出が増えている!りんご2.8倍 米9.5倍 いちご28.7倍》

食料の輸出入の話題になると、とかく外国に頼っているという論調一辺倒ですが、実は国産農産物で輸出が増えているという面もあるというお話。「ドバイの太陽」と名付けられた鳥取産の高級スイカが、現地で大人気というのはなかなかよいですね。青森リンゴは、台湾などでも大人気なのだとか。

《東京都心(中央区)の人口増加率35.7%が全国1位になった異変》

昔、都心の人口が減るという「ドーナツ化現象」というのがありましたが、21世紀になるとこれと逆に都心の人口が増えるようになったという。これを「あんぱん化現象」と呼ぶのだそうです。

《日本一大きな水車と日本一長い夢の大吊橋》

日本一大きな水車というのが、15年間で10回も更新されており、1991年だけで3回も日本一が変わっているそうです。鋭い人は、この年代だけでピンとくるかもですが、これの発端は、全国の市町村に1億円を地域振興資金として交付した竹下内閣の「ふるさと創生事業」なんですね。

《東日本に157万人いる鈴木さん、なぜ西日本にはたった13万人なのか》

激しくうなづいた指摘でした。僕、京都生まれの京都育ちなのですが、正直「鈴木」という人が、全国1位といわれるほどに周りにいなかったんですよね。それこそ「鈴木くん、佐藤くん」なんてお菓子も出ていましたが、そんなにいる?と思っていたところ、やはり鈴木は関東に多い姓なのだとか。関西に多いのは「田中」で、これは稲作が昔は関西で盛んだったことの名残りだとか。中村は、稲作を行う村の中心。「井上」は新田開発のために掘られた井戸の周辺を意味して、これも関西に多いのだとか。なるほど!

《壁新聞に使う白い大きな紙の呼び名は、模造紙72%、B紙15%、鳥の子用紙7%》

この項で「学校方言」ということばを使われていましたが、鹿児島などの九州で黒板消しを「ラーフル」と呼ぶなど、たしかにそういうものって多いですよね。「模造紙」もそのひとつで、上記のように名前が違うのだとか。僕にとっての驚きは「模造紙って何を『模造』しているのか?」に、この文章を読むまで気付かなかったこと。『目でみることば』を作っていたとき「葛藤」ってなぜ「葛」と「藤」って書くの?など、この手のネタを徹底的に考えたのだけど、まだまだあるなー。《「雁皮」というのは昔からの和紙の原料であり、その和紙の一種に「鳥の子紙」と呼ばれる紙がある。その「鳥の子紙」に似せて、つまり模造したから「模造紙」》なんだとか!

いろいろ勉強になったいい本でした。

そういえば「目でみることば」は、夏休みの自由研究に使えるので、興味のある方、以下の記事ご覧くださいませ。

okataco.hatenablog.com