小学6年の息子が、ようやく本を読み出しました。これが地味に嬉しい。
本を作っている身としては、その良さを次世代に伝えたいのですが、自分の息子が読まないようでは話にならない。かといって押し付けても本を嫌いになるだけだろうしと、ゆるやかに彼の近くに名作を置き続けたところ、ある日、手にとって読むようになりました。そのきっかけとなったのは、こちら。
- 作者: ジュールベルヌ,金斗鉉,Jules Verne,那須辰造
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1990/06/10
- メディア: 文庫
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僕、実は大学の卒論をジュール・ヴェルヌで書いたほどのヴェルヌファンでして、十五少年漂流記も、本が大好きになった思い出の一冊。「これ面白いね」と息子がいってくれたので、嬉しさを隠しながら「当たり前だろ!」と答えておきました(笑)。
『十五少年漂流記』を読めば、次も漂流ものだろうと、次はこちらをさりげなく。
やっぱ漂流モノは、探偵モノと並ぶ、男子にとってのキラーコンテンツ。がっつり食いつきますね。僕は、ここから吉村昭先生の『漂流』とかに行ったのですが、ちょっと早いかなと思い、次に放った一手が良かった。
息子は歴史が好きなので、これは食いつくのではと手渡したのが、斉藤洋さんの『源平の風』。仙人に弟子入りして仙術を習得した狐「白狐魔丸」が、日本の歴史上の人物と遭遇し、歴史の面白い一面を見せてくれる名作シリーズの第1巻です。僕は、大人になってから読みましたが「児童文学」という枠を超えた実に面白い作品。案の定「白狐魔丸がかわいい!もっと読みたい」と言うので、立て続けに4作読んだかな。
このなかだと元寇を描いた『蒙古の波』がいちばん好きだったようでした。
もうここまでくると、立派な本好き。今まで「難しい」と思っていたものを、スラスラとクリアできる快感。読んでしまえば単なる娯楽のひとつと感じられるようになれば、もう大丈夫。本なんて、そんなもんです。肩肘張らず、楽しんでもらえれば十分。そのためには、楽しい本を渡してあげること。そして親も本が好きである環境が整えば言うことないですよね。
さて、「もっと違う感じで面白いのが読みたい」というので、「まだ早いかもしれないけど……」と、この作品を渡してみました。
『西の魔女が死んだ』。主人公の女の子と、おばあちゃんの物語。ストーリーもいいけれど、おばあちゃんの家の描写が本当に素敵なんですよね。「読めば絶対感動する。保証する」と言って渡したら「よーし」と読み始めた。ずっと集中して読んでいて、最後の最後、彼の目から涙がポロリ。きっと最後のあれを読んだのでしょう。
《「西の魔女から東の魔女へ おばあちゃんの魂、脱出大成功」》
読み終えた息子は「こんなの泣いちゃう」と言ってました。かわいいなー。嬉しいなー。自分の感動を子供と共有できるのは、なんともいいことですね。
すっかり本に対して抵抗もなくなったようなので、この夏は、いっぱい本を勧めたいと思っています。