おかべたかしの編集記

執筆・編集の記録とお知らせと。

シリーズ新作「歴史」と「方言」スタートしました

今年の『目でみることば』シリーズは、テーマを「歴史」と「方言」と決めて撮影を始めました。

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写真は、吉田茂が住んでいたというお家(再建)からの眺め。ここからの景色を吉田茂はたいそう愛していたそうで、それと同じものを見にきたのです。そう、このように「あの人と同じ景色を見る」が今回のテーマ。

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こちらは鎌倉武士が通っていた「鎌倉切通」と呼ばれる古道で山出さんが撮影してくれた俺です。こういった昔の人と同じものをたくさん見ていきたいと思います。

というわけで全国各地を旅して撮影していき、今年の夏には出したいなと思っているので、また応援よろしくお願いします。

それにはなんとしてもコロナを抑えてほしいんですけどね。どうなることやら。みなさんもご自愛ください!

 

あけましておめでとうございます

2022年、新年あけましておめでとうございます。

昨年は、コロナでいろいろ大変でしたが、今年は少しでも穏やかに、いろんな交流が生まれる年になるといいですね。

今年は、仕事で全国各地に行く計画しております。またよき本を作っていこうと思っておりますので、本年もよろしくお願いいたします。

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写真は、昨年、取材で出会った東京玩具の「笊かぶり犬」。「犬」に「竹」をかぶせると「笑」に見えるからこんな姿なのだとか。笑、多き年となりますよう。

小田急線の新宿駅から終点の片瀬江ノ島まで歩いてきた話

先日、小田急線の新宿駅から終点の片瀬江ノ島駅まで歩いてきたので、そのルポを書いてみます。

ある日、中3の息子と新宿まで買い物に来た帰り、なんとなく南新宿まで歩いてみたところ、なんだかとても楽しかった。電車から眺めみていた景色の側に立つのが面白く、そこから次の参宮橋まで歩いた帰りの車内で、ふと「終点の小田原まで歩いてみるか」と息子に言ったら「いいよ」というので、そんならやってみっかと挑戦することにしたのです。

前から歩くことには興味があり、京都出身で東京に住んでいるので「東海道踏破」的な記事を読むのは大好き。そんな記事のなかに、東京から小田原まで歩いて、次は小田原からその先へ……といった感じで挑戦している人がいることを知りました。なるほど。一気に歩かずとも、ある区間を歩いて次はその続きから始めればいいのか。そう思うと、小田急線の経堂駅に住んでいる僕にとっては、とても気軽にできそうでいいなと。それで挑戦した記録が以下のようなものです。

1日目 新宿→南新宿→参宮橋
2日目 参宮橋→代々木八幡→代々木上原→東北沢→下北沢→世田谷代田
3日目 世田谷代田→梅ヶ丘→豪徳寺→経堂→千歳船橋祖師ヶ谷大蔵成城学園前→喜多見→狛江
4日目。狛江→和泉多摩川→登戸→向ヶ丘遊園→生田→読売ランド前→百合ヶ丘→新百合ヶ丘
5日目。新百合ヶ丘→柿生→鶴川→玉川学園前→町田
6日目。町田→相模大野→東林間→中央林間→南林間→鶴間→大和→桜ヶ丘
7日目。桜ヶ丘→高座渋谷→長後→湘南台六会日大前→善行→藤沢本町→藤沢
8日目。藤沢→本鵠沼鵠沼海岸片瀬江ノ島

というわけでのべ8日の挑戦。どの日も最長で4時間くらい。歩数にして2万数千歩が最大です。ん? 小田原まで行くのではなかったのかと疑問に思われるでしょうが、Facebookで途中経過を報告しているとき小田原行きは次回にして今回は片瀬江ノ島にしてみたらとアドバイスをもらったのです。

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これが小田急線の路線図ですが、相模大野から小田原に行と片瀬江ノ島行に分かれるんですが、小田原方面は山間部も通りかなりしんどいというので、近くの片瀬江ノ島に行くかと進路変更をしたのでした。

とはいえ楽な道ばかりではないので、僕なりのしんどい駅間ベスト3を発表します。

1位 鶴川→玉川学園駅/ここはつらかった。駅間が長いのもあるけど、線路沿いを歩くことができず、山に宅地造成されたところを地図を見ながら歩いて45分くらいかかりますかね。この後の玉川学園→町田の間も距離が長く、鶴川→町田の間が、この沿線ウォーク最大の難所といえるでしょう。

2位 鶴間→大和/ここも駅間が長い。線路沿いをずーっと歩けるももの、歩いても歩いても駅が見えない感じがすごい。とても印象に残る駅間です。

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3位 生田→読売ランド前向ヶ丘遊園からだいぶ歩く道が変わってきて、国道沿いを車と歩くことになるんですが、これがなかなかしんどい。車の音が思いの外プレッシャーになるので、できるだけ車のそばを歩かないのがひとつのポイントだと思いました。

ただ「ここはつらかった」というところは、帰りの電車から眺め見るのも楽しく、思い出深い区間ともいえます。そう、歩く前はただの通過駅だったのが、歩いてみるとその体験ごと浮かびあがってきて、車窓から眺めているだけでも楽しく思えるところがとてもいいチャレンジです。また地震などで電車が止まったときも、自分がどれだけ歩けるか体験として知ることができるので、そんな観点からもおすすめ。思い立ったとき気軽に挑戦できるので、ぜひみなさんも沿線ウォークやってみてはいかがでしょうか。

中3という以前ほど話さなくなった息子ともよく話す機会になってそれもよかったなと思っています。次は、二人で山手線一周に挑戦する予定です。

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これは今回の挑戦でいちばんの眺め。善行から少し行った先の高台からの眺めで小田急線がとてもきれいに見えました。

将棋ペン倶楽部 掲載御礼

第33回将棋ペンクラブ大賞において『将棋「初段になれるかな」大会議』が技術部門の優秀賞をいただきました。昨日、発送していただいた「将棋ペン倶楽部」の2021年・秋号に我々の受賞の挨拶が掲載されていますので、機会ありましたらご覧ください。

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さくらはな。さんが、受賞記念に描いてくれたイラスト。最高だな。宝物ができました。

「将棋ペン倶楽部」さんは、こういった将棋にまつわる執筆・出版の懸賞活動をされていて、本当にありがたいです。私たち文筆業は、こういったご褒美を力にまた本を作ることができます(いろんな業界にこういった活動、派生しないかなー。派生してくれると嬉しいなー)。ありがとうございました。御礼まで。

 

「しらべるちがいのずかん」を読んで「からいシシトウ」を当てよう

新刊「しらべるちがいのずかん」発売になりました。

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作ろうと思ったきっかけは「からいシシトウって当てられる?」という素朴な疑問でした。あのからいシシトウを見るだけで当てたらすごくない? そう思って、スーパーで買ってきたシシトウを並べて写真に撮って「このなかでどれがからい?」と、facebookにアップしたら、お友達の唐辛子やさんがズバリ当てて驚いたのです。そして我が家の妻もズバリ当てて、なお驚いたのです。なんでわかるの? そう思ってカメラマンの山出さんと、たくさんシシトウを買ってきて観察し続けた結果、からいシシトウを見分けるコツを掴むことができたのです。f:id:okataco:20210829181812p:plain

ここから得た哲学は「とにかくじっくり観察すると思わぬ発見がある」。そこでいろんなものを「かんさつする」「しらべる」楽しさを伝えようとしたのが、この本の第一の魅力でしょうか。生卵とゆで卵の見分け方にもトライしました。

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「光をあてる」「まわす」といったよく知られた方法だけでなく、見ただけで見分ける方法も発見しましたよ。あと沈む氷の作り方とか。

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あとかわいい動物たちの見分け方も紹介しています。こちらはチンアナゴとニシキアナゴ。

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あと旧作からの再編集も半分くらい織り交ぜて、幅広いジャンルで「しらべる」「みつける」「くらべる」を楽しんでもらえる一冊となりました。総ルビでお子さんも読めます。子どもに読んであげようと思ったお父さん&お母さんがびっくり! そこを狙って作ってますので、ぜひご家族で楽しんでください。デザイナーのサトウミユキさんも楽しんで作ってくれました。この本扉とかサイコー。

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こちら「はじめに」です。

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どうかお気に入りの書店さんでお買い求めください。きっと楽しいですよ。
お近くに書店さんがない方はこちらでどうぞ。

 ぜひ「からいシシトウ」を当てられるようになって、一目置かれてくださいね。

みなもと太郎先生 ありがとうございました

今朝、漫画家みなもと太郎先生の訃報をしりました。悲しくて悲しくて、その悲しさを埋めようと先生とのことを思い出しています。

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写真は、高知で行われた「漫画家大会議」で先生が講演される折、その対談相手にご指名いただきご一緒したときのものです。史跡だらけの高知を楽しそうに歩いておられた。たくさんの漫画家さんが集まるこの会議で座長に任命された先生は「なんでわしなの〜」とぼやきながら乾杯のご発声や挨拶をされておられたなぁ。帰りの飛行機で隣になって、漫画のこと歴史のことをいろいろ話してくださったあの一時間ちょっとは夢のような時間でした。

先生と初めてお会いしたは、1999年、僕がまだ社員編集者の頃で新宿にあるご自宅にインタビューで伺ったのでした。それから僕は会社をやめ、先生も潮出版の連載が終了し、発表の場所を模索される時代があった。その後、リイド社との縁ができて、風雲児たちのワイド版と、幕末編の連載が始まったときは嬉しかったな。

先生は、あの一度の縁をたいそう喜んでくださり、折あるごとに作品など送ってくださった。僕はありがたく拝読するなか、この「風雲児たち」という漫画が、これだけ素晴らしいクオリティなのに、あまり知名度がないことが大きな損失だと思って「ガイドブックを作りませんか」という話をしました。「風雲児たち」は名作だけど、ちょっと読んでみるかと思うには長すぎるので、ガイドブックがあればいいなと思ったのです。この話を先生は喜んでくださり、リイド社での企画も通ったので、平成27年ですから6年前ですか、紆余曲折あったものの「風雲児たちガイドブック解体新書」という本が出ました。

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この本のなかで、これから風雲児たちがどうなるかというインタビューをしました。

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このときのことをよく覚えています。「これから風雲児たちはどうなりますか?」と聞くと、身を乗り出して「話したいことは山ほどあるよ」と、本当に長く話してくださった。とりわけ坂本龍馬をどう描くかについて、力説されておられた。同書には先生のこんな話があります。

《どんな風に描くかは、これから考えていきます。ただ、おおまかな構想はある。きっちり描けば、近江屋まであと二十年はかかるでしょう。その間の竜馬の行動によって、竜馬派もアンチ竜馬派も認めさせるものにする。年々、竜馬は『風雲児たち』全体の主役に必要であるという思いは強くなっているので、誰もが納得できる坂本竜馬を描きますよ》

ちなみに最終回は、函館の五稜郭になるだろうとおっしゃっていました。

ああ、それらすべてを読みたかったです。先生の坂本竜馬をもっと読みたかったです。

本当に残念ですが、今まで素晴らしい作品をありがとうございました。

そういえば手塚治虫先生との出会いについてもどこかで描いておられたな。天国でお会いになっているでしょうか。

みなもと先生、今まで本当にお疲れ様でした。ゆっくりお休みください。本当に本当にありがとうございました。

おかべたかし

「植物観察家」の鈴木純さんとお話します 8/3 @B&B

もう2年も前になるんですね。書店で「そんなふうに生きていたのね まちの植物のせかい」という本を見かけたときのことはよく覚えています。

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内容も、その造作もすごくよくって読書メーターというサイトにこんな感想を書きました。
《いい本です。著者・鈴木純さんの「植物観察家」という肩書きもいいし、この肩書きのスタンスからくる「見て!楽しいよ」という構成もいい。オールカラーで植物からの吹き出しを多用したデザインも素敵。造本もいい。本の楽しさに満ちています。版元・雷鳥社さん。丁寧な仕事をされていますね。リスペクト》
ほんといい本なんですよ。雷鳥社という小さな出版社もまえから大好きで、ことあるごとに「いいよーっ」て言っていたからでしょうか。この本の著者の鈴木さんと対談しませんか?と声をかけてもらい、8月3日に下北沢のB&Bで《鈴木純×岡部敬史 「本を通して伝えたい、お野菜の世界」『種から種へ 命つながるお野菜の一生』(雷鳥社)刊行記念》というイベントで話してきます。
鈴木純さんは、町に咲く小さな花を観察してその魅力を伝えるワークショップなども開催されているので、興味ある方、調べてみてください。こちらにプロフィールとかあるかな。
 出身は東京農業大学。今、僕は経堂に住んでいるのですが、なにかと農大の方との縁が広がって不思議で嬉しいです。
*イベント詳細こちらです。オンラインのみですが、ぜひご参加くださいませ。
*鈴木さんの新刊『種から種へ 命つながるお野菜の一生』も面白いですよ。

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*小さな教訓
《好きなものは「いいぞー!」と声すると、素敵な出会いがあるものです》