おかべたかしの編集記

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オリンピックでも注目したい「似ている国旗」の話

もうすぐオリンピック開幕!ということで今日は「似ている国旗」のお話をします。オリンピックの開会式などで、世界の国旗を見ていると、なんか似ているものが多いですよね。とくにアフリカの国旗が似ていて「ややこしい」と感じる人が多いと思いますが、これは意図して似たものになっているのです。

お手本になったのは、エチオピアの国旗です。アフリカに現存する最古の独立国といわれるこの国の国旗は、「緑・黄・赤」に星のマークがデザインされていますが、1957年、イギリスから独立したガーナがこれを真似たことから、その後、ヨーロッパ諸国から独立したアフリカの国々がこれに倣ったのです。それゆえ、アフリカの多くの国がこの「緑・黄・赤」を使っており、この3色は「アフリカンカラー」と呼ばれるようになりました。また、フランスから独立した、ギニア、セネガル、マリは、このアフリカンカラーを使いながらも、縦に3色を配したフランスの国旗の形にも倣っています。ここからは、独立してからもフランスと良好な関係でいたいという、この3国の考えが見て取れるといいます。

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たしかにソックリですが、こんな図で見ると、理解しやすいのではないでしょうか。

この「アフリカンカラー」のように、同じような色を使っている国旗群は、他にもあります。アラブ首長国連邦イラク、クェート、シリアなどの中東諸国には、「赤・白・黒・緑」を使った国旗がありますが、これは「アラブの色」と呼ばれるもので、アラブ民族に向けて協調を呼びかけているといいます。

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またクロアチアスロバキアチェコ、ロシアなどが使っている「赤・青・白」の3色は「スラブの色」と呼ばれ、スラブ語を話すスラブ人の国家であることを意味しています。

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このあたりも「ややこしい」ですが、これも意図して同じ色を使っていたのです。

色だけでなく、形にも意味があります。ウズベキスタン、トルコ、マレーシア、モーリタニアなどの国旗には「三日月と星」が描かれていますが、これはもともと巨大帝国を築いたオスマントルコの旗に使われていたもので、これがイスラム教のシンボルとなっています。よって、この「三日月と星」を国旗にあしらった国は、みんなイスラム教の国なのです。

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なかなかウズベキとトルコとモーリタニアの共通性って、見出せないですよね。

これと同じ理屈で、イギリス、ジャマイカ、スイス、デンマークなど、国旗に「十字」が見てとれる国は、キリスト教の国です。

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このジャマイカの国旗も「十字」だとは意外ではないでしょうか。

このように色や形に注目すると、似ていてややこしいと思う世界の国旗も整理して理解できるはずです。ぜひオリンピックの開会式では、国旗に注目してみてください。「似ている国旗」の話は他にもたくさんあるので、これも夏休みの自由研究になるかもしれませんね。

この「似ている国旗」の話は、以下の本に書いたものです。興味ある方はご覧くださいませ。

似ていることば

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