おかべたかしの編集記

執筆・編集の記録とお知らせと。

「東京は外に出て初めて家賃に見合う場所となる」

昨日のブログに《会社と家の往復だけじゃ東京は元がとれない》と書いたのですが、これ『くらべる東西』に「東京1年生に伝えたい「東京の勘所」というコラムで詳しく書いていたので、以下に載せておきます。東京1年生が、東京を快適に生活できるほんの一助にでもなれば嬉しく思います。

東京の路線図と大阪の路線図を見比べると「東京の真ん中に皇居があることを意識する」ことは、東京という都市を理解する「勘所」だと気づくはずです。よく「東京の地下鉄はわかりづらい」といわれますが、この問題もこの勘所を知れば、理解が進むと思います。
 大阪の地下鉄というのは、路線図を見てもらえればわかるのですが、実に整然としています。碁盤の目のように規則正しく複数の路線が走っていて、とてもわかりやすい。これに対して東京の地下鉄は、同じ都心でも、駅が密集しているところがあると思えば、駅間が長いところもあってわかりにくい。こういった不規則さを理解するために意識したいのが皇居の存在。東京、昔の江戸は江戸城を中心に栄えていきますが、この江戸城が現在の皇居。つまり東京の中心には皇居があり、この地下には地下鉄は走っていません。東京の中心には地下鉄を通すことができない場所がある。もちろんクルマも通ることができない。この勘所を知るだけで、東京の地理に対する理解はだいぶ進むと思うのです。
 こういった「東京の勘所」というのは、他にもいろいろあります。
「東京は意外と歩ける」
 東京という大都会の「大」の部分に圧倒され、とかく東京は「大きいところ」と思いがちですが、そんなことはありません。銀座から東京など、電車に乗るより歩いたほうが早いというケースも少なくありませんし、新宿から渋谷なども1時間かかることなく歩くことができます。「意外と歩けるな」という意識がもてれば、地震などの災害時に電車が止まっても「じゃあ歩こうか」と心にゆとりができるはずです。
「東京の人は冷たいのではなく、緊張しているだけ」
 これは「私の東京物語」と題するコラム(『東京新聞』2016/3/27)で又吉直樹さんが書いていたフレーズなのですが、これも東京の勘所のひとつだと思います。実際、知らない人が突然声をかけてきても、あなたをあまり幸せにしない街でしょう。それを知ってる人たちは、どうしても緊張しているのだけれど、決してみんなが冷たいわけではないのです。
「東京は外に出て初めて家賃に見合う場所となる」
 私がこれから東京で暮らし始める人に伝えたい東京の勘所はこれです。東京というのは、あちこちを訪ね歩き、そこにあるコミュニティに参加してこそ価値がある。他より高い家賃を払う意味があると思うのです。好きな絵があれば、それが飾られた美術館がある。何か趣味ができれば、それを語り合うコミュニティがある。これが東京という大都市の大きなメリット。家の中にいるだけでは、東京の価値はわからない。外に出て、いっぱい歩きまわってください。

ちなみに、以下が東京の地下鉄路線図。中央の緑の部分が皇居です。「皇居」って書いておけばいいのに書いてあるものは少ない。でも、このように「何かある」と暗示してないものもありますのでこれはまだましなほう。

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こちらは大阪の地下鉄路線図。東京にくらべると整然としてますよね。

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ただ、東京の地下鉄は、慣れます。「赤坂見附と永田町なんって同じ駅じゃん!」なんてことにも、そのうち気付きますから、それほど怖がらなくても大丈夫。それよりも、「神楽坂と市ヶ谷って、地下鉄乗るより歩いたほうが早くない?」ってことは、歩かないと気づかない。東京はけっこう歩けます。それに歩いて楽しいし、いろいろ発見があるので、東京に慣れたい人はぜひ歩いてください。家から出て歩く歩く。これが東京を楽しむコツだと思いますよ。

❇︎東京と関西の文化の違いに驚いたら、以下の本を見てみよう!^^

くらべる東西

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 ❇︎書店さんでもどこでも「東京1年生」を集めたトークイベントなどどうですか?東西の違いなど、いろいろお話しますのでお声かけください^^