おかべたかしの編集記

執筆・編集の記録とお知らせと。

シリーズ15弾『目でみる日本史』はみんなにも真似て行ってもらいたい旅ガイドです

『目でみることば』シリーズの15弾となる『目でみる日本史』が発売となります。カバーは石田三成が見た関ヶ原

つまり「あの歴史上の人物が見た景色を見に行く」という企画なのですが、これが実に楽しい。ほんと楽しいからみんな行って!というわけで、そのいくつかをご紹介します。

こちらは吉田松陰が見た下田湾。吉田松陰は、黒船に密航して海外に行こうとするのですが、それを試みたのがこの下田湾。入江になっていて、なるほど黒船はこんなところに停泊したのかと感じられます。松陰は夜中に小舟を盗んでここから黒船に向かったのですが、その景色がそのままある。十年ほど前、観光で行ったとき「これ松陰が見た景色と同じ」と思ったのが、この企画の出発点でした。

こちらはこの春に奈良に撮影に行ったときのもの。中大兄皇子が見た大和三山です。あの中大兄皇子が見た景色が、わりとそのまんま残っている奈良の素晴らしさたるや。

こちらは北条泰時が作ったとされる鎌倉切通のひとつ朝比奈切通。鎌倉は山に囲まれた天然の要塞で、攻められにくい分、行きにくい。そこでこういった山を切り開く「切通(きりどおし)」と呼ばれるものが作られたのですが、これが当時の雰囲気がそのまま残っている。

これは福沢諭吉大村益次郎が在籍して大阪の「適塾」の眺め。この先に見える窓の向こうが、この塾を作った緒方洪庵の書斎であり、夜、あの窓の明かりが点いていると、福沢や弟子たちは「先生がまだ勉強しているのだから俺たちも」と意気込んだそうです。

仕上がった本を見ると、歴史が古いものから並べたという工夫が活きていて、めくるたびに現代に近づく感じも楽しいです。弥生人から三島由紀夫までの旅、ぜひお楽しみください。