おかべたかしの編集記

執筆・編集の記録とお知らせと。

「くらべる東西」と並んで売ってもらいたい本

「くらべる東西」は、いろんな項目に言及しているので、この本を核に「東西文化の違いを楽しもう」といったフェアができるのではと思っています。僕が書店員で棚を作るならば、こんな本を並べたいな――というのを少しご紹介してみます。

東と西の語る日本の歴史 (講談社学術文庫)

東と西の語る日本の歴史 (講談社学術文庫)

 

 まず「くらべる東西」に厚みをもたらしてくれた恩人ならぬ恩書がこちら。同書の「考古学から見た東と西」で、縄文土器にも明確な東西差があると知り、撮影に出向いたのです。

《そうじて、縄文時代の全体を通じて、西日本の遺跡は貧弱であり、東日本が圧倒的に複雑・多様な文化を生み出したことは間違いない事実で、狩猟・漁労・採取文化における東日本の優位は疑いないといえよう》

こんなことご存知でした? 江戸時代などを見ると、東北初藩は総じて貧しく、九州、西国は豊かという印象ですが、縄文時代までさかのぼると逆転していて、それが土器の形態にも反映されている。実に面白いなぁ。

 「くらべる東西」では「エスカレーターのどちらを空ける?」という定番のネタを扱っていませんが、この本の「エスカレーターで右に立つのは大阪だけ。京都は右に立ちませぬ」という項に現状がずんずんと書かれております。

《「左立ち」は東京だけのものではなく、九州、中国、京滋(一部)、東海、関東が従う「日本標準」です。右立ちは「日本標準に対する大阪方式」なのだ》といった結論を、独自の調査の末に導いている堀井さんは、個人的に大好き。「週刊文春」を読み始めたのは、この単行本のもととなった「ずんずん調査」が読みたかったからなのだなぁ。

銭湯遺産

銭湯遺産

 

 「くらべる東西」は、湯船が奥にある東の銭湯、湯船が中央にある西の銭湯が表紙ですが、そんな意外な地域性が存在する全国の貴重な銭湯をカラー写真で紹介しているのがこちら。5800円と多少高価ですが、この写真群は、眺めているだけでも楽しい。「東西」の表紙の両銭湯は載ってませんが、とても面白い。さすが町田忍さんの仕事という感じです。

支那そば館の謎 裏京都ミステリー (光文社文庫)

支那そば館の謎 裏京都ミステリー (光文社文庫)

 

「くらべる東西」の銭湯の違いが話題になっていたとき「そういえばそんなミステリーがあった」なんてネットのつぶやきから見つけたのでこちらの本。短編集なのですが、冒頭の「不動明王の憂鬱」という作品で、「関東と京都では湯船の位置が違う」ということが謎の事故死の原因となっています。このような京都のちょっとした謎をカギにするお話なのでした。こういった物語まで広がると、かなり充実したフェアとなりそうですよね。

残したい日本の美201

残したい日本の美201

 

この本の巻頭言にあった「伝統とは意志である」という言葉を「東西」のコラムで引用させていただきました。そう、東西の違いというのは「その時代の人が残したいという意志」のもと、残っているんですよね。

絵引民具の事典

絵引民具の事典

 

 この事典を見ると、生活に密着した道具にもいろんな東西差異があることがわかります。取り上げなかったのですが、草刈り鎌にも違いがあるのだとか。

さて、ざっと書きましたが「東西文化の違いを楽しもうフェア」もっともっといろんな本があると思います。どこかの書店さんが実践してくれるといいなぁ。

 

 *先日「日刊ゲンダイ」さんが「東西」の嬉しい書評を書いてくださりました。

《東西の文化の違いを手がかりに、日本の暮らしの豊かさを改めて教えてくれるお薦め本》という締めがことさら嬉しいですね。

「くらべる東西」に登場する京都のお店リスト

おかげさまで「くらべる東西」発売すぐに品切れとなり、ようやく重版分が全国の書店に並んでおりますので、よろしくお願いします。

さて、別件仕事も少し落ち着いたので久しぶりに「東西」情報を更新。今日は、本に出てくる京都の名店をご紹介します。京都観光の際、立ち寄ってみてください。

まずは「西のいなり寿司」と「西のちらし寿司」で撮影させていただいた「京のすし処末廣」さん。今回、個人的にいちばん美味しかったのはこのお稲荷さんでした。

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こちらは伝統的な関西のちらし。

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寺町二条上がるなので、京都の中心地からもアクセスしやすい。このお稲荷さんを買って帰りの新幹線で召し上がるなんてのもいいんじゃないでしょうか。予め、電話で予約されたほうがいいかもしれませんね。

続いて「西のおでん」で撮影させていただいたのは「蛸長」さん。

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どうですか、この美味しそうなおでん。オフショットの内観はこちら。

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鴨川に掛かる四条大橋から少し南に下がったところ。あの池波正太郎と、この私も絶賛するお店です^^ おでん種は、四季折々、美味しいものが並ぶので、いろんな季節に訪れたいですね。

西の七味唐辛子でご紹介したのは「七味家本舗」さん。

京都に行かれたら、この山椒風味の七味唐辛子をぜひ味わってください。

「西のぜんざい」で撮影させていただいたのは「甘味どころ ぎをん小森」さん。

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建物は、古くからのお茶屋さんだそうです。

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カバー写真にもなっている「西の銭湯」は「竹殿湯」さんにご協力いただきました。何度見ても美しい、中央に湯船のある浴槽。

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外観も素敵です。京都市北区にあります。

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東西、両スタイルのタマゴサンドを撮影させていただいたのは「COFFEE HOUSE maki」さん。僕も京都に帰省するたび、立ち寄らせてもらう落ち着くお店。

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この西のスタイルのタマゴサンド美味しいんですよねぇ。

最後にご紹介するのは「西のねぎ」でご協力いただいた「祇をん 萬屋」さん。このねぎうどんは、本当に美味しいです。少し行列してしまうかもですが、空いてそうな時間を見計らって訪れてみてください。

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オマケショットで、何かに使おうと思って撮ってもらったけれど、結局、使わずじまいだった高山彦九郎くんを。こうして見ると、ほんのり山出カメラマンに似ているなぁ^^

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このように「東西」には、京都のお店がいくつか載っておりますので、京都の書店さん、ぜひぜひよろしくお願いします。これから東京に旅立つ若者向けに、書店イベントなどもいかがでしょうか^^ 

*今日、午後5時15分頃から東海地区で放送されているCBCラジオ「みどりのさきどりっ」のコーナーで「くらべる東西」の話をします。タイミングあえばお聞きください。

「くらべる東西」ラジオにテレビに

おかげさまで「くらべる東西」たくさんの方に読んでいただいておりましてありがとうございます。それで各メディアに取り上げていただく予定がタタタとあるので、ご報告。まず、明日の火曜日の午後12時27分〜29分頃スタートで、ラジオでお話します。

こちらは2年前『似ていることば』を出したときにもよんでいただいた番組。

ネット局:青森・秋田・山形・福島・栃木・長野・富山・石川・福井・岐阜・三重・山陰・岡山・山口・香川・徳島・高知・佐賀・長崎・宮崎・広島*東京・半蔵門から放送していますが、東京では聞くことが出来ません。

ということですが、当該地域の方、もしタイミングあえばお聞きください。半蔵門は、以前、通った懐かしき場所。楽しみです。

続いて6月29日水曜日、フジテレビの「めざましテレビ」内コーナー「めざまシード 」でご紹介いただけるとのこと。6時10分頃予定で約 5分の程度コーナーだそうです。

そして7月3日には『北海道新聞』 の書評欄で紹介いただけるとのこと。北海道新聞は、『目でみることば』でも書評していただいたのではなかったかなぁ。ありがとうございます^^

あと、今日は簡単なインタビューにもお答えしたネットニュースが配信されました。

また、もろもろありましたらここでご報告いたします。なお、取材やインタビューの依頼ございましたら、お気軽にお声掛けくださいませ。

6/29追記*今朝の「めざましテレビ」ですが、放送が延期になったそうです。見てもらっていた方おられましたらすいませんでした。テレビはこれがあるんですよねぇ……。今度は「放送されたぞ!」と報告いたします。はい。

「日経新聞」で、あの野瀬さんに!ご紹介いただく

本日の「日経新聞」の夕刊で「くらべる東西」をご紹介いただきました。

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記事を書いていただいたのは、野瀬泰申さん。このお名前にピーンと来られた方、おられるのではないでしょうか。そう、この名著の作者が野瀬さんです。

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僕のもっている初版は2003年のものだから、もう13年も前になるんですね。日本全国の食にまつわる地域性をレポした本で、こういった着眼点が、当時はとても新鮮でした。

全日本「食の方言」地図

全日本「食の方言」地図

 

 一部改訂されて文庫化もされています。

天ぷらにソースをかけますか?―ニッポン食文化の境界線 (新潮文庫)

天ぷらにソースをかけますか?―ニッポン食文化の境界線 (新潮文庫)

 

僕、この本の大ファンで、こんかい「くらべる東西」を出したときに、野瀬さんに読んでもらえたら……と、お世話になっている編集の方にアドレスを教えてもらってお送りしたところ「愉快!」とご紹介くださりありがたいかぎり。野瀬さん、ありがとうございました!

そういえば、担当編集Fさんからこんなメールが……。

ところで、来週月曜日にABCラジオの「おはようパーソナリティ道上洋三です」で紹介されるそうです。8時くらいからコーナーが始まって15から20分くらいで紹介するそうです。
http://abc1008.com/ohapaso/

おー!これは楽しみだ。

「くらべる東西」の表紙は「熱海湯」と「竹殿湯」

東西文化の違いを一目瞭然にする『くらべる東西』。早いところでは明日から店頭かな。間もなく発売です。

くらべる東西

くらべる東西

 

 それでこのカバーの写真が好評で「この銭湯はどこですか?」という声もいただいたので、ちょっとご紹介しておきます。まず東は、神楽坂にある「熱海湯」さん。

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素晴らしいペンキ絵は4年ごとに塗り直されるそうです。この『目でみることば』シリーズは、基本的に取材先の写真は2点しか載らないレイアウトになっているので、オフショットがたくさんあります。せっかくなので山出カメラマンが撮ってくれた別のアングルもご紹介。

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横から見てもかっこいい。

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実に清く正しく美しい東の銭湯ですね。場所情報など、以下のリンクなど参照ください。

熱海湯【Lets】レッツエンジョイ東京

続いて西は京都市北区の竹殿湯さん。

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関西の銭湯は湯船が中央という伝統があるのですが、それが実に美しく継承されています(なぜ関西は中央なのかは本書をご覧ください)。

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こちらも山出カメラマンのオフショットをご紹介。関西でも改装すると湯船を奥に設置するところが増えているそうで、中央に湯船がある銭湯は貴重だそうです。

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外観も素敵でした。

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場所などの詳細は、こちらのリンクなど参照ください。

竹殿湯 | 裸で見る芸術 京都の銭湯 〜京都中の銭湯のタイル絵をご紹介〜

改めて二つの銭湯に大いなる感謝を送ります。どちらも末永く続いていただきたいな。

東西あるある決定版!『くらべる東西』

最近、すっかりブログがご無沙汰になってましたが、今日は、はりきって更新しますよー! というのは『目でみることば』シリーズの新作がもうすぐ発売になるからであります!

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題して「くらべる東西」。6月9日発売です!

タイトルからもわかるように、東と西で違うものを、それぞれ写真に撮って、一目瞭然にするというわけです。たとえば、カバー写真は東西の銭湯の違い。湯船の位置が違うのです。

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これはPOPですが、ご覧のようにいなり寿司の形が東西では違う。

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おでんも違うねー。

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ぜんざいも違うんですよ。

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定番ばかりでなく、ご覧のように座布団なんかも違うのです(どう違うのかは、本をご覧ください)。こういった東と西では何が違う?ってのは、それこそエスカレーターの並ぶ場所だとか、散々今までネタにされてきましたけど、この本は、今までのものとは一線を画していると自負しています。ネタも「縄文土器」とか「のれん」とか「落語家」とか、みんな「ん?」となるもの数多し。いなり寿司や、桜餅とか、おでんなんかの定番も、名店にちゃんと取材させていただき撮影しているので、見て楽しく美味しそう! コラムも充実で、読み応えもあるはずはず!というわけで、久しぶりの『目でみることば』の新作は、新たなる「くらべる」シリーズとしての第一弾、自信作ですので、ぜひぜひお手にとってくださいませ。今回は、とりわけ関西の人に手にとってもらいたいなー。初の関西イベントにも意欲満々ですので、関西の書店さんやブックカフェなど、ぜひ気軽にお声掛けくださいませ。これから東京に旅立つ若人たちに、東京の流儀というのを、楽しく映像で解説するトークなどをしたいと計画中であります。

というわけで、しばらくこの「くらべる東西」の話を、アップしていきますので、おつきあいくださいませ。

くらべる東西

くらべる東西