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おかべたかしの編集記

読書・執筆・育児の記録と、お知らせと。

さかなクンの一魚一会

さかなクンの一魚一会』を読んで、考えさせられたので、ご紹介。

さかなクンの一魚一会 ~まいにち夢中な人生!~

さかなクンの一魚一会 ~まいにち夢中な人生!~

 

さかなクンは、以前「いじめられている君へ」という素晴らしい文章を読んでからいっそう好きなのです。(以下、未読でしたらぜひ)

朝日新聞デジタル:いじめられている君へ - 教育

それで、この本ではその半生が記されているのですが、やはり紆余曲折あって「さかなクン」になっているんですね。

子どもの頃から絵が好きで、魚が大好き。でも運動も勉強も苦手だったさかなクン。高校卒業後、大学に進学する学力がなかったため、水産系の専門学校に進学します。その後、水族館や熱帯魚店、お寿司屋さんなどで働いてみるも、どうも自分に合わない。魚が大好きで、どれも魚に関係する仕事なのに、自分に合わない。そう悩んでいたさかなくんを救ったのは、こんな一言でした。

 《はっきりいって、寿司職人には向いてないけど、絵はすばらしい!そうだ絵を描いてよ。うちの店の壁いっぱいに!好きなように魚を描いて。時給もあげるからさ》

ここからお魚専門イラストレーターとして注目されるようになり、徐々に「さかなクン」になっていったのです。まさに既存の枠にハマらない「さかなクン」だけがなり得る「さかなクン」という職業。ここに至るのに欠かせないのが、彼のお母さんの意思でした。このお母さんがスゴいのです。

魚の絵ばかり描いていて、勉強をしないさかなクン。お母さんは、家庭訪問のたびにもう少し勉強に集中するよう言われたといいます。しかし《「あの子は魚が好きで、絵を描くことが大好きなんです。だからそれでいいんです」》。これから困るのは、お子さんですよと言われても《「成績が優秀な子がいればそうでない子もいて、だからいいんじゃないですか。みんながみんなといっしょだったら先生、ロボットになっちゃいますよ》ならば絵の先生について習ってみてはという提案には《「そうすると、絵の先生とおなじ絵になってしまいますでしょ。あの子には、自分の好きなように描いてもらいたいんです。今だって、誰にも習わずに自分であれだけのものを描いています。それでいいんです》

強い。強いなー。

個性が大事と多くの親が理解しているでしょうが、ここまで言える人がどれだけいるでしょうか。そういえば一流のスポーツ選手の親を取材したこんな本があります。

天才は親が作る (文春文庫)

天才は親が作る (文春文庫)

 

 この本に書かれていた松坂大輔や、イチローのご両親も、このさかなクンのお母さんに似ていたなぁと思い出します。やはり個性的な子どもは、類希な親の覚悟と信頼があってこそ育つのでしょう。この本の文系版、あってもいいんじゃないでしょうか。