おかべたかしの編集記

執筆・編集の記録とお知らせと。

<我々が人々を叱責するのは優越感にひたるため>『悩める君に贈るガツンとくる言葉』

敬愛する石原壮一郎さんのこの本に、記しておきたい言葉がありましたのでご紹介。

悩める君に贈るガツンとくる言葉 (大人養成講座)

悩める君に贈るガツンとくる言葉 (大人養成講座)

 

 いろんな方のお悩みに対して、賢人41人の金言をもって回答していくというスタイルですが、なかでも印象に残ったのが、フランスの文学者ラ・ロシュフコーのこんなお言葉でした。

我々が過ちを犯した人々を叱責するときの動機は、どちらかというと善意よりも傲慢によることの方が多い。つまり相手の過ちを正すからというより、自分だったらそんな過ちはけっして仕出かさないということを誇示し、優越感にひたるためにする。

この本は、もともとネット連載されたものをまとめられたこともあり、このようなネット社会への警鐘が印象的。「ネットの中で大暴れする快感に日々溺れている」という相談者にはスティーブン・キングのこんな言葉を引いておられます。

ウンコ投げ競争の優勝者は、手がいちばん汚れていない人間だ。

ここ数年で一気に誰もが発信できる時代になりました。一気に車社会になった昭和30年代、それこそ「交通戦争」などと呼ばれたときは、交通事故の死者数がとんでもないことになっていた。今は、そんな時代に似ているように思います。誰もが発信できるようになったからこそ、発信することの意味、ルール、安全のために必要なことを、こういった著作などから学んでいきたいですね。そんなとき「ルール」ではなく「マナー」として定着させられればなぁと。

この原稿で、書店「Title」の辻山さんが《マナーは明文化されないところにその価値があります》と書いておられた。今後「発信するマナー」が醸成していくことを願うばかりです。