おかべたかしの編集記

執筆・編集の記録とお知らせと。

京都の蕎麦前「晦庵 河道屋」

蕎麦屋で、板わさや卵焼きなどを肴にゆるゆると呑んで蕎麦で〆る。この蕎麦屋で呑む「蕎麦前」という文化は、京都出身の僕にとってサイコーの東京文化のひとつです。

京都って蕎麦をあまり食べないんですよね。うどん最高!カルチャーなんで、蕎麦前なんて存在しないものだと思っていました。でも、あるんですねぇ。先日、帰省の際に立ち寄ったのが江戸時代から続くという蕎麦屋さん「晦庵 河道屋」。

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ここが実に「蕎麦前」に適したお店なのです。午後2時〜午後5時が休みの店だと「蕎麦前」のゴールデンタイムの午後3時前後に飲めないのですが、ここは通し営業でその点も心配なし。つまみも素敵。

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奥が刺身ゆばで、手前が焼き鳥。この串から外すスタイルは東京の老舗蕎麦屋でも見られるものでなんだか嬉しい。あと京都らしく焼き鳥に山椒が効いているのもいいなぁ。知らなかっただけで京都にもちゃんと蕎麦前文化があるんですね。京都の好きな店がまたひとつ増えました。

手話の「昭和」と「平成」

3月24日に「日本文藝家協会」さんのお招きによる「文芸トークサロン」に登壇してきました。もう4回目になるのですが、いつも写真をスライドにして、それを見ながらお話する2時間弱。今回は「くらべる時代」をテーマに昭和と平成で何が変わったかを、クイズ形式も交えてお話ししてきました。

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こんなガムの変化が意外と盛り上がりましたね。

それで、今回はスペシャルなことがありまして、手話の同時通訳の方がついてくださったのです。2人の方が20分をめどに交代して私の話を手話で通訳してくださるのですが、手の表現でなく口の表現も加わり、大変な重労働ですね。でもおかげで耳の不自由な方もたくさん参加してくださり「楽しかったです!」と声をかけてもらって、とても貴重な体験となりました。ご参加くださったみなさん、ありがとうございました。

合間の休憩時間に手話通訳の方に手話を少し教えていただきました。「昭和は、高い襟を表現します」とのこと。手を広げて高い襟のところで少し動かします。「平成は平ら」ということで、手のひらを横に動かす感じで。明治と大正は、それぞれの天皇の印象的なヒゲが、手話もモチーフになっています。こんなサイトが詳しいかな。

イベントは、自分ではたどり着けない出会いをくださるので感謝感謝。また登壇すること楽しみにしております。

昭和と平成のオムライス、食べくらべ。

『くらべる時代 昭和と平成』のカバーを飾るのは、日本橋たいめいけん」のオムライスです。

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こちらが「オムライス」。昭和からある王道の形ですよね。これに対し平成になってとろとろの卵が乗せられたオムライスをよく見るようになりましたが、その端緒だと考えたのが、同店の「タンポポオムライス」です。

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このようなオムレツが乗った形で出てきますが、ここにナイフを入れていきます。

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スーッと切っていく。

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そして卵を開いていく。

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とろとろ^^ 美味しそう。この「タンポポオムライス」の名前の由来は、昭和60年に公開された故・伊丹十三監督の『タンポポ』という映画のタイトルから。同映画にホームレスの男が厨房に忍び込んでオムライスを作るシーンがあるのですが、この撮影に協力した縁で、この名前を採って同店の名物になったのです。YouTubeで探したらあったあった。これですこのシーン。


たんぽぽ すごく美味しそうなオムライス作り

 日本映画の名シーンですね。

たいめいけん」のこの2つのオムライス、見た目だけじゃなくて具材も異なれば味もかなり違います。ぜひ食べくらべてみてください。

たいめいけんのオムライス食べくらべといえば、平松洋子さんの『サンドウィッチは銀座で』(画は先日お亡くなりになった谷口ジローさん。お疲れ様でした。)。この中に「いつもこころにオムライス」という一編があり、たいめいけんでこの両者(+牛肉のオムライス)を食べるシーンがあり、こちらも楽しい。

平松さんは、大阪心斎橋の「明治軒」にまでオムライスを食べに行っておられます。

《「オムライスを知ろうというなら、ぜったい食べずにすませられない味が心斎橋にある。これは酔狂なんかじゃない、一途なオムライス賛歌」》とまでいわしめる味。この店か。

串カツもセットになっているのだとか。ほー。今度、行ってみよう。オムライス探訪、ちょいちょい続けてみようかと思います。

くらべる時代 昭和と平成

くらべる時代 昭和と平成

 

 

 

3/24 文芸トークサロンで「くらべる時代」のお話します

「くらべる時代 昭和と平成」おかげさまで、各地で好評いただいてまして、3月24日の金曜日には日本文藝家協会さんのお招きによるトークサロンに登壇することになりました。

紀尾井町文藝春秋ビルで1500円、ドリンク付。ビールやワインが飲めます^^ 昭和と平成の写真を見ながら時代の移り変わりを話そうという会でして、山出カメラマンも同席してくださるので、撮影苦労話なども話したいと思います。それと今回は、手話の同時通訳の方が同席してくださるとのことで、聴覚障害の方にも参加していただけるのだとか。初めての体験で楽しみです。お時間ありましたらご参加くださいませ。

詳細と申し込みは下記リンクからお願いします。

イベント情報 | 日本文藝家協会

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くらべる時代 昭和と平成

くらべる時代 昭和と平成

 

 

なぜ卓上ポット(魔法瓶)から花柄が消えたのか?

昭和と平成の違いを34の項目で比較してみた「くらべる時代 昭和と平成」。昨日、発売になりましたが、そのなかで印象的なネタのひとつが卓上ポット(魔法瓶)の昭和と平成です。

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そうそう。昭和のものってこういった花柄でしたよね。昭和42年に花柄のものが大ヒットして、それ以降、魔法瓶といえば「花柄」というくらいスタンダードになりました。しかし、軽くて丈夫なステンレス製(これ以前はガラス製)が登場すると、花柄が姿を消します。これはガラス製は外側にカバーがあり、そこにプリントできたけれど、ステンレスには、こういった印刷が難しいためなのだとか。上の昭和と平成のポットは容量は同じですが、この外側カバーがなくなった分だけ平成のものはコンパクトになっています。

撮影に協力してくださったのは象印マホービン株式会社が運営される「まほうびん記念館」。同社のサイトでは、花柄マホービンのイラストがダウンロードできる素敵なサイトがあるのでぜひご覧ください。実に懐かし可愛い!^^

このような昭和から平成にかけての変化を知ることができる「くらべる時代 昭和と平成」。よろしくお願いします!

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amazonこちら。書店さんでも、ぜひぜひお求めてください。こんなPOPも飾ってあるかもです♪

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「東西でネコの尻尾が違う」が「フルタチさん」で検証された話

『くらべる東西』で「東と西ではネコが違う」という話を紹介しました。

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 パッと見ただけだとわかりませんが、これ尻尾が違うんですね。「東のネコ」は、先端が曲がった「カギ尻尾」が多い。「西のネコ」は、尻尾がまっすぐが多い。この違いは「猫又(ねこまた)」という化け猫伝説に由来しているとされています。

猫又とは、尻尾が二つに分かれている化け猫で、尻尾が長い猫が長生きすると(20年以上といわれています)これに化けるとされていました。このため、この猫又伝説が強く信じられていた江戸では、尻尾がまっすぐなネコが忌避され、尻尾の短いネコや、尾が曲がっているネコが好んで飼われたというのです。この尻尾が曲がったネコというのは、もともと日本にはおらず、当時、日本と交易していたオランダ船が、航海の途上、ジャカルタで乗せたものとされています。

さて、こういう話だったのですが、本当に関東と関西で実数に違いが見られるのか、僕も数えたわけではありませんでした。

それが年末「フルタチさん」という番組のスタッフの方から、このネタを実際に調べてみたいと連絡があり、その放送が1月29日にあったのです。

まず、番組スタッフの方が、東京と大阪の公園などで、実際にネコを50匹ずつ観察した結果《関東の尾曲りネコ率=50匹中26匹/関西の尾曲りネコ率=50匹中7匹》という結果が出ました。

その上、全国の野良猫を6万7千匹も調べたという京都大学名誉教授・野澤謙さんのデータを引用。それによれば尾曲りネコの割合は《東京(23区)=40%/埼玉=51%/神奈川=45%》であるのに対して《大阪=27%/京都=18%/奈良=18%》という結果だったのです。

おぉ! このように関西のネコの尻尾はまっすぐが多く、関東のネコにはカギ尻尾(尾曲りネコ)が多いというのは、実数的にも正しいとわかったのです。

『くらべる東西』の中では「こういう話がある」というニュアンスで紹介していたのですが、今回「フルタチさん」によって、事実に近い話とわかり実に嬉しい。これから機会があれば、東西のネコの尻尾に注目してみてください。

くらべる東西

くらべる東西

 

もうすぐ発売『くらべる時代 昭和と平成』

新刊『くらべる時代 昭和と平成』、ようやく完成しました。

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くらべる時代: 昭和と平成

くらべる時代: 昭和と平成

 

僕は昭和47年生まれですが、昭和のことといえば、つい最近のことのようにも思えます。しかし、昭和から平成の間に、いろいろなものが変化しました。この本では、その変化を、昭和と平成の写真を見くらべることで感じ取ってみようという一冊です。

たとえば「ラムネ瓶」は、昭和の時代、すべてがガラスで出来ていましたが、平成になって飲み口や、そのすべてがプラスチックのものに変わっています。

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日傘も、白から黒に変わりましたよね。

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意外なところで、ボタンも変わっているのです。高価な洋服が売れた昭和の後期はボタンが大きかったのですが、平成になってボタンは全体的に薄く小さくなっています。

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花束も変わっています。花屋さんにご協力いただき、それぞれの時代の象徴的な花束を作ってもらったのですが、こんなにも違うんですね。

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このように今を生きる私たちが、つい見逃しがちな変化に注目しています。

コラムでは「公衆電話の使い方を知らない人が増えた」という話を書いてますが、ほんの一昔前まで当たり前だったことも「伝えようとしないと伝わっていかないんだな」と改めて感じました。

幅広い世代で昭和、平成について話し合う契機の一冊となれば嬉しいです。

来週の月曜日2月27日に配本なので、店頭は早くて28日、通常3月1日でしょうか。

なお、それに先駆けて池袋のジュンク堂本店の9Fでパネル展が今月18日の土曜日から開催されております。若干数の先行発売がありますので、お立ち寄りの際に、覗いてみてください(売り切れの際はご容赦くださいませ)。

というわけで「くらべる時代 昭和と平成」よろしくお願いします。

❇︎献本させていただいたビアガーデン仲間の和田さんが、素敵な紹介記事を書いてくださいました(ありがとうございます^^)本の概要、こちらでも感じてください。

あと、前作は、こちら。最近、テレビでここで紹介した東西のネコの違いが取り上げられ、ちょっとした反響でした。東西のネコ、尻尾が違うのです。

くらべる東西

くらべる東西