何気なく手に取ったこの本、素晴らしかったのでご紹介。
今「わからないこと」に関心があるのです。といっても宇宙の果てとか、そりゃわからないだろうけどそんな縁遠い話よりも、もっと身近で素朴でわからないこと。調べてもお金になりそうもないから放っておかれているようなわからないこと。そんな「わからないこと」ないかなと手にとったこの本では、冒頭で鳥類の研究をしている三上修さんが「スズメが日本に何羽いるのかわからない」と書かれていて「なんと面白い!」と感動しました。
この本は、三上さんがこの命題について、どうやって調べたのかが、とてもわかりやすく書かれています。スズメという身近な鳥の生態を知る面白さももちろん味わえますが、考えること、調べることの醍醐味が詰まった実に魅力的な一冊でした。
《科学というのは、世界を理解するためのものです。科学のすばらしいところは、難しくいうと現象を一般化できることです。もっと噛み砕いていえば、なるべく少ない情報で、世界を説明しようという試みだといってもいいかもしれません》
こんな一節など、科学、学ぶことに対する説明もわかりやすい。
なぜ三上さんがスズメを調べることにしたのかというこんな一節が感慨深かった。
《鳥の研究をもっと多くの人に楽しんでもらわないと「自分が食べていけなくなる」と思ったからです。最近の科学というのは、くわしくわかればわかるほど、その専門性が際立ってきます。そうすると、門外漢の人には何をやっているのかわからなくなってきます。それでも、医療のように人のために役立ったり、発明が産業につながったりする場合はよいのですが、そうでない研究分野は、衰退していくことが多いのです。芸術にしても、文化にしても、価値はあっても、一般の方に受け入れてもらわないと、その分野そのものが土台から崩れさってしまいます。ですから、一般の方にも鳥類学を楽しんでもらうことで、自分が生きていく道を少しでも書いたくしようとしたのです》
研究も「楽しんでもらう」という意識、大切ですよね。ふむ。