おかべたかしの編集記

執筆・編集の記録とお知らせと。

4/8(日)は「くらべるポテチ酒場」@さばのゆ 経堂

今度の日曜日(8日)、経堂の「さばのゆ」さんで「くらべるポテチ酒場」をやります。

4月8日(日曜日)
『目でみることば』『くらべる東西』(共に東京書籍)などの人気シリーズを世に贈り続ける、さばのゆのお客サバ、『くらべる時代』『くらべる値段』に続いて『くらべる世界』を上梓した著述家&編集者のおかべたかしさんとの「くらべる酒場」シリーズ、今回は、「くらべるポテチ酒場」
国内外のポテチが20種類ほど集まります。「ポテチをくらべる」立ち飲みイベントです。くらべるシリーズの販売も行っています!
チャージ1500円+キャッシュオン
   19時〜21時半LO
    予約:sabanoyu@gmail.com  

 さばのゆの店主・須田さんがこんな紹介をしてくれました。申し込みは「さばのゆ」のサイト(経堂さばのゆ 営業スケジュール | さばのゆ) orFacebookのイベントページからお願いします。

www.facebook.comそんな須田さんからのイベント情報が今日アップデートされましたよ^^

くらべるポテチ@さばのゆ」ですが、いろんなポテチが集まって、国産では、カルビー湖池屋/ハウス/デイリーヤマザキなどの大手から、北海道の深川油脂工業をはじめとした地方の名ポテチも集結。外国産は、ドイツ、アメリカ、スペイン、スコットランド、イギリスなど、インターナショナルな様相を呈してきました。信州の馬刺しチップスに対抗するのは、スペインのトリュフチップスなど。ポテチの世界、オモシロ過ぎです。

なんかとてもインターナショナル!楽しみです。僕もカウンターの中でゆるゆる飲んでおりますので、ふらりとお越しくださいませ。

*「さばのゆ」の店主・須田さんといえば、最近上梓された『蘇るサバ缶』が大評判。経堂の人情商店街を感じに来ませんか?

蘇るサバ缶  震災と希望と人情商店街

蘇るサバ缶 震災と希望と人情商店街

 

 *『くらべる世界』ですが、本日、地方紙向けの記事が配信されておりました。各所でご好評いただき感謝!

神戸新聞NEXT|全国海外|エンタメ|『くらべる世界』おかべたかし文、山出高士写真 所変われば品変わる

くらべる世界

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アメリカ式ネクタイを探す愉しみ〜英米ネクタイの違い〜

『くらべる世界』のネタで僕がいちばん好きなのは、ネクタイのアメリカ式とイギリス式の違いです。

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こっちがアメリカ式。

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そしてこっちがイギリス式。違い、わかりました? 色じゃないですよ。

そう、ストライプの向きなのです。斜めストライプのネクタイのことを「レジメンタルタイ」と言います。イギリス軍の連隊の旗が斜めストライプであったことから名付けられたもので、イギリス式ネクタイにあるように向かって左上がり(カタカナの「ノ」に見える)がもともとの形でした。これがアメリカに渡ったとき向きを逆にしたのが人気となったので、これがアメリカ式と呼ばれています。

さて、日本のネクタイをざっと見ると、ほとんど(8割〜9割ほど)がイギリス式です。みなさんのネクタイもきっとイギリス式ではないでしょうか。ただ、この「1割ほどあるアメリカ式」というのが、なんだかとてもそそられるのです。なんというか見つけると嬉しくなる。この話を知ってから、エスカレーターなどで人とすれ違うとき、ついネクタイをチェックするのですが、アメリカ式の人が降りてくると「おっ!」と思う。別にアメリカが好きということとは関係なく、この「1割ほどしかいない」という絶妙の割合が、なんだか面白いのです。

それでおそらくですが、イギリス式は「これはイギリス式だから」と選んでいる人はあまりいないと思います。これが一般的なので、こういうものだと選んでいる。でもアメリカ式は、きっと敢えて選んでいるも少なくないでしょう。アメリカ式が好きだから選んでいる。

僕がテレビを見ていて「この人はアメリカ式を選んでいるなー」と感じたのが、安倍晋三首相です。

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こちら【安倍晋三 ネクタイ】で画像検索した結果ですが、ね? アメリカ式多いでしょ。ニュースを見ていても、とても多い。アメリカ発のアイビーファッションが日本で盛んになったのは1964年からなんて話があるのですが、安倍さんはこの影響を受けているのかなと推測。もし英国首相と対談する機会があれば、イギリス式を締めるのでしょうか。気になるところです。

あと一人、こんな人もアメリカ式をしていました。

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そう『君の名は。』 の瀧くん! 彼が通う学校がアメリカ式のネクタイを採用しているのですが、これはモデル校があるのかなー。なぜアメリカ式になったのか興味津々です。というわけで、一度知ってしまうと、ついつい「アメリカ? イギリス?」とチェックしてしまうネクタイのお話。ぜひ1割ほどのアメリカ式を見つけたときの「おっ!」と体験してみてください。なかなか愉しいですよ。

くらべる世界

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高知に惚れてしまう旅「第四回全国漫画家大会議 inまんが王国・土佐」

まんが王国・高知の大イベント「第四回全国漫画家大会議 inまんが王国・土佐」。こちらに出席されるみなもと太郎先生のトークショーの聞き手役を拝命して、一泊二日で高知に行ってまいりました。実に楽しかったので旅レポをお届けします。

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メイン会場となったのは「高知市文化プラザかるぽーと」。20名を超える漫画家が集合してトークショーや実演など、様々な催し物が開かれました。我らがみなもと先生は、オープニングでの挨拶や、宴会での乾杯の発声など、大役を一手に引き受けられておられ「なんでワシなの^^;」とずっと嘆かれつつも、見事に務めておられました。トップバッターだったトークショーも楽しく和やかに終了。そしてその日の夜には「おきゃく」という宴会にご招待いただきました。

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中央公園にたくさんの屋台とテントが並び、ちょっとしたオクトーバーフェストのような趣ですが、こんな「べろべろの神様」が中央に鎮座されているからオクトーバーフェストとは全然違いますね^^

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きれいな芸妓さんも、会場に花を添えてくださいました。

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「おきゃく」の会場においてあったこれが「べくはい」と呼ばれる盃なんですが、ご覧のような形をしているから下に置けない。つまり必ず飲み干さねばならない盃というわけです。左下に置いてあるのがコマで、このコマが指し示した人が、提示された絵柄の盃で飲む。当然、天狗がいちばん大きくてひょっとこの6倍あるのだとか。僕も、少し参加しましたが、これはベロベロになりますよ(笑)

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そんな「おきゃく」会場でみたこんな広告「たっすいがは、いかん!」。どういう意味なのでしょうか。聞くところ「たっすい」というのは「薄い」ということで、「うすいのはダメ」つまり「濃いラガービールがいいよね〜」ということのようです。この他県の人にとっては意味不明な広告、結構評判のようで、この影響もありキリンビールは高知ですごく売れているのだとか。そういえば、こんな本あったなぁ。未読ですがこんど読んでみよう。

 翌日は、快晴。高知の街をいろいろ散策しました。歴史の街だけあって、ちょっと歩けばいろんな史跡に出会えます。

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これは最近、興味ある中江兆民の誕生の地。

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こちらは吉田東洋の暗殺の地。

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こちらは武市半平太、終焉の地とみなもと太郎先生。先生は、本当にいい方。周りの人みんなに気を配ってくださってくださるとても優しい方で、そんな先生とご一緒できとても思い出深い旅となりました。高知の方からも大変なおもてなしをいただきまして、改めて御礼申し上げます。高知、惚れてしまいました^^ またぜひ遊びに行きたいと思います。人と酒と食べ物、すべて素敵な場所でした(花粉も少なかったし!)

*みなもと先生の「風雲児たち」ですが、正月時代劇が今度DVDになるのだとか。見逃した方、ぜひご覧ください。

 

みなもと太郎スペシャルトークショー 「風雲児たちが語る!幕末の魅力」

明日、こちらのイベントで聞き役を拝命しましたので、高知県に行きます。

みなもと太郎スペシャルトークショー 「風雲児たちが語る!幕末の魅力」 | 横山隆一記念まんが館

予約不要、入場無料のようなので、高知県にお住まいの方などぜひ^^

久しぶりの高知。前回行ったのは、20年前。龍馬の脱藩の道を辿るという取材だったなー。今から楽しみです。

『くらべる世界』発売記念 また食べたい世界の食べ物ベスト5

世界の様々な文化を比較した『くらべる世界』本日発売!よろしくお願いします。

今日は発売を記念して本書で取材した「また食べたい世界の食べ物ベスト5」を発表します。(写真撮影はすべて山出高士)

ジャジャーン! まず5位は、カナダのフライドポテト「プーティン」!

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フライドポテトといってもお国柄がありまして、そのなかでも個性的なのがカナダのプーティン。ポテトにチーズとグレイビーソースという肉汁ベースのソースがかかっていて、このソースがまた食べたい欲を異常に刺激するんです。カナダの国民食とも言われていて、取材に行ったお店「フライドポテト専門店 Robson Fries」には、カナダ人やカナダの留学経験者などが、忘れられないプーティンの味を求めてやってこられていました。

 

4位 オランダのドーナツ「オリーボーレン」

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ドーナツはオランダ発祥とされていて、当地で愛好されているのが、この穴のない「オリーボーレン」というドーナツ。なんでも年越しに欠かせない食べ物で、日本の年越しそばのようなポジションの食べ物なんだとか。これがことのほか美味しくて、また食べたい。世界のドーナツを販売する「ドーナツ専門店ジャック イン ザ ドーナッツ」で買えますよ。

 

3位 スペインのオムレツ「トルティージャ

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スペインバルの主役ともいうべきオムレツ。一般的に写真のハードタイプがよく知られていますが、半熟タイプもあります。ワインに実によく一品でまた食べたい。撮影に伺ったのは、経堂のトロンパさんでした。

スペインバル トロンパ - 経堂駅農大通り徒歩3分。立ち呑みスタイルの昼から飲めるスペインバル

 

2位 イギリスのサンドイッチ「キューカンバーサンド」

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「キューカンバー 」つまり「キュウリ」のサンドイッチなのですが、これが実に美味しかった。キュウリを薄く切ることと、白ワインビネガーを使うのが英国スタイルのようですが、想像をはるかに超える贅沢な味。ぜひ食べてみてください。「ギンザシックス」内の「JOE'S CAFE|JOSEPH」で食べられます。

 

そして映えある1位は……タイのソーセージ「サイウア」!

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世界20カ国以上、総計70種類以上のソーセージを作ってこられた「hayari」のオーナーシェフ村上武士さんに提供していただいたこのソーセージが絶品でした。レッドカリー風味なのですが、もうこの中にタイ料理がそのまんま入っている感じで、ほんと未知なる美味。あまりに美味しくて山出カメラマンも撮影後、通販で購入したそうです^^

こちらから購入可能です。

世界のソーセージ『hayari』

 こうやって改めてみるとどれも美味しそう! 『くらべる世界』では、もっと美味しそうな世界の食べ物をたくさん紹介していますので是非ご覧くださいませ。

くらべる世界

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『蘇るサバ缶』〜経堂と石巻をつなぐ希望の話〜

まもなく7回目の「3・11」。この『蘇るサバ缶』という本で紹介されているのは、あの日を境に缶詰を通して強く結びついた世田谷区経堂と宮城県石巻の物語です。

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舞台は経堂にあるイベント酒場「さばのゆ」。著者はこの店の店主である須田泰成さん。須田さんは、サバ缶による町おこしを企画し、その縁で宮城県石巻市にある「木の屋石巻水産」との関係が生まれます。この木の屋のサバ缶は、三陸石巻漁港で水揚げされた金華サバを、刺身でも食べられる鮮度のまま手で詰めて作られた大変美味しいもの。2011年3月11日の当日も、そんな美味しいサバ缶が、たくさん店に届いたばかりでした。

そしてあの地震石巻にある「木の屋」も大きな被害を受けます。経堂の商店街のみなさんは、チャリティ落語会を開いたり、支援物資を届けたりと、石巻に向けた支援をスタート。

そんななか木の屋では、津波に襲われた倉庫から流出した缶詰が泥だらけで発見され、みなさんに洗って食べてもらえればと経堂に届けられます。試しに洗ってみると、ラベルはないものの中身は美味しく食べられる。ならばこの泥を経堂の人で洗い、缶詰を売ってそのお金を復興資金にしてもらおう――。「蘇るサバ缶」というタイトルは、ここにつながってきます。

結局、経堂で洗った缶詰は累計22万缶にも達し、大いに石巻の復興を助けることになりました。そんな希望に満ちた話が、この本には詰まっています。

この本で印象的だったのがこんな一節です。

《工場が再建されてから、よく、経堂の店の人たちと飲み屋のカウンターで、「あの頃、どうして、泥まみれの缶詰をあんなに一生懸命になって洗ったのか?」という話になった。答えはいつも同じだった。
「美味しかったから!」「あの味が忘れられなかったから」》

 泥まみれの缶詰を洗ったのは、みんなボランティアの人たち。なぜ洗ったのかの答えが「美味しいから」というのは、とてもシンプルかつ的を射た答えのような気がします。美味しいもの。つまり真面目に正しく作ったものには、これだけの求心力がある。

実は、僕も3年前に経堂に引っ越して「さばのゆ」に通うようになったのですが、この「さばのゆ」の求心力の核も「美味しいから」にあると思います。

「さばのゆ」で供される缶詰などはもちろんのこと、この本に登場する経堂の個人店、カレーの「ガラムマサラ」、やきとんの「㐂八」、居酒屋「らかん茶屋」、ラーメンの「まことや」などなど、どれをとっても本当に良心的な価格で実に美味しい。「さばのゆ」がハブ的な役割になってつながるお店の美味しさこそ、さばのゆの魅力、そして須田さんの魅力だなぁと感じるのです。

あの震災のことだけでなく、人と人、会社と会社が、本当に草の根でつながって、小さな一歩を踏み出す物語。驚くべきコツも、魔法のようなビジネスロジックもありませんが、これこそ本物のビジネス書なのかもしれないとも感じさせるいい本でした。

*この本を編集・プロデュースしたのは、石黒謙吾さん。もう二十年来のお付き合いで、いつも精力的な本作り尊敬しています。こういう本も出てしまえば「売れそう」とかいろいろ言えますが、企画書の段階で動かす人は、あまりいないものです。それをいろんな出版社にかけあって、その魅力を伝え、一方で著者から原稿取って仕事しても、初版で終わればほんの少しのお金にしかならない。でも「本という形で世に出したい」という石黒さんの思いで、形になった。素晴らしいなと改めて思います。本は、神輿だなと感じることがあります。先日も、さばのゆでこの本の出版記念イベントがあったのですが、お店に入りれないほどの人がきていた。経堂の人は、みんな缶詰の話は知っているのですが、本になったと知ってみんな足を運んでいた。本ってそういう力がまだまだあるんだなと確認させてもらったことも、この本の素晴らしいところでした。

 

 

マーマイトとベジマイト、どっちが美味しい?

『くらべる世界』のネタで取り上げているのが、イギリスのマーマイトと、オーストラリアのベジマイトです。どの国にも、その国民は大好きだけど、他国の人にとってみると「うーん?」となる食べ物ってありますよね。日本でいえば梅干しや納豆でしょうが、そんな存在がマーマイトとベジマイト。略してマイト兄弟。

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パンに塗って食べるのですが、「まずい」「辛すぎる」「表現しがたい味」「食べるうちに癖になる」「まさにイギリスらしい味」などといろんな噂があるのです。ともにビールの醸造過程で沈殿した酵母を主原料にしていて、名前も似ていて、瓶のラベルも似ている。では、食べくらべたらどうなのだろう……と、トライしてみました。以下、僕の食べたときの感想メモです。

見た目は、思ったより違っていてマーマイト(左)はご覧のようにちょっと赤みがかっているのに対してベジマイト(右)は真っ黒。またマーマイトは、すこし粘り気があるのに対してマーマイトは粘り気少ない。気になる味ですが、マーマイトは食べた瞬間「辛いっ!」っとひたすら塩っぱい。ただ、食べているうちに酸味も感じてきて、発酵味というか酵母味のようなものも感じてくる。正直、美味いとは思いませんが癖になる感じはありますね。うん、なしではない。一方ベジマイトは、マーマイトの「辛いっ!」ってのは若干弱いもののその後に苦味があって、酸味の代わりになんともいえぬ匂いがします。なんだろうこの匂いと味。鮒寿司とかの発酵系の苦手な味というよりも、どんよりと曇りがかったような味なんですよ。なんでしょうかこれ。このどんよりとした味を上手に表現したいのだけど、なんとも言えない感じでモヤモヤ。正直、マーマイトはまたちょっと食べてもいいけど、ベジマイトはもういいです。昼に食べたのに、ときおり胃からスーッと「マイト兄弟」の味がよみがえってきて困っているのでこれからアルコール消毒しよう。

どんな味か説明しづらいのですが、食べたら絶対に忘れない味。これが果たしてくせになるとか、美味しくなるのかはわかりませんが、どうもイギリスやオーストラリアでも、好きな人と嫌いな人に分かれるようで、それはこんなマーマイトのCMからもうかがい知ることができます。

www.youtube.comなんか笑えるCM。とにかく食べたら語りたくなる不思議な食べ物。撮影の残りが結構あるので、2月27日経堂のさばのゆさんのイベントで提供しますので、食べてみたい方、ぜひお越しくださいませ。イベントの詳細、以下です。

 

本は今月28日発売予定です。

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